スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2026年10月 3日 (土)

アジア大会女子サッカー 海外組はほぼ不在「WEリーグ」組が見せた意地の3連覇 PK戦でも粘り、諦めなかった選手たちを「本当にたくましく思えた」と狩野監督称賛

 延長戦では北朝鮮に押し込まれ、日本がそれをはね返す時間帯はほとんどなかった。延長を乗り切って迎えたPK戦に心身の疲労が色濃く見えたが、「WEリーグ」の選手で結束したチームは劣勢を自分たちの持ち味、粘り強さや諦めない気持ちを表現する舞台に変えてみせた。
 PKの人選と順番は狩野倫久監督が指名。狩野監督によれば11年W杯優勝メンバーで現在なでしこのコーチを務める近賀ゆかり氏が、アジア大会に向けた練習中にもファール、イエローのシーンでPKを設定するなどPKに自信を持って臨んだという。自信の言葉通リ指名した5人全員がPKを成功させた。狩野監督は「サムライブルーと同じ魂を持って最後まで粘り強く、諦めず戦った選手たちを本当に逞しく思えた」と称えた。
 今大会は国際Aマッチウィークの期間外のため欧州中心の海外組は招集できず、登録23人のうち海外組はGK大場朱羽(レンジャーズ)1人。DF大箸桜子(東洋大)以外は国内女子プロリーグ「WEリーグ」のクラブ所属が21人となった。
 キャプテンの成宮唯(神戸)は試合後国内組で臨んだ今大会を「多くの選手が海外に移籍するなか、WEリーグの価値を示すことができる唯一の場所だった」と振り返る。加えて昨年のリーグMVPは「私自身の意地もありましたので」と言う。リーグMVPに選ばれた自分が金メダルを獲得するチームの中心選手として、主将としてどうプレーをし、チームにその姿を示せるのかをテーマに取り組んだ。
 今大会5試合7得点あげ、国内組ながら新戦力としての力を見せたFW・神谷千菜(ちいな、サンフレッチェ広島レジーナ)は後半30分、相手との接触で肩を痛めて交代。「(決勝で)ゴールが奪えなかったので悔しい形で終わってしまった。この3週間は、ほんとうに学ぶことがたくさんありましたし自信にもなった。(なでしこジャパンの)ひとつのピースになれるように広島に戻って頑張りたい」と、金メダルに新たな挑戦心をも手にした。

 来年のW杯出場権を優勝で手中にした今年のアジアカップに続き、今大会でアジアダブルタイトルを獲得。初の外国籍監督として来年のW杯ブラジル大会での優勝を約束したニールセン・前監督がアジア杯優勝後に退任しコーチだった狩野監督が就任して新たなスタッフ陣で臨む初大会でもあった。金メダルとともに手にした大きな自信が、来年のW杯にどうつながっていきか期待が膨らむ。
 3日は男子が韓国と金メダルをかけて対戦する。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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