スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2026年7月 8日 (水)

陸上十種競技、39歳の右代が十種競技を卒業し円盤投げで現役続行「右代と、友人の長友佑都、ダルビッシュ有ら40歳のトップアスリートが日本のスポーツ界に示す教え=健康でいること」

8日=世田谷区・国士舘大内 キング・オブ・アスリート」と敬称される陸上の十種競技で12年ロンドン五輪代表、16年リオ五輪では日本選手団の旗手も務めた第一人者、右代啓祐(うしろ・けいすけ、39=国士舘大准教授、同大学陸上部監督)が十種競技を「卒業」し、今後は十種競技の1種目でもある円盤投げ(自己ベスト50㍍23)で「1㌢でも自己記録を伸ばして過去の自分に勝ちたい。まだまだ自分を高め強くなれる」と、引退とは少し違うユニークなチャレンジを明らかにした。
 6月の日本選手権で競技中に標準記録が切れないと分かり、一線を退く決断をしたという。円盤投げの選手として初戦は8月の北海道での競技会を予定している。20年のキャリアで日本人初の8000点をマークし常に国際大会に出場、世界大会の常連としての地位を固めた。12年のロンドン五輪には日本人として48年ぶりの出場を果たし16年のリオ五輪では日本選手団の旗手も務め、陸上だけではなく日本スポーツ界全体にも影響力を持つ。今後は大学生の指導のほか、福井県の鯖江で部活の地域移行をサポートするなど「何でもやるという(万能の)の能力を発揮し
世の中に何かを伝え続けていきたい」と意欲を見せた。
 _____________________________________________
 ユニークで新しい
チャレンジを発表した会見後、右代に「1986年生まれで39歳。サッカーW杯で5大会連続出場を果たした長友選手と同じく年齢の壁を飛び越えるのでは?」と聞いた。右代は「あ、長友とは同じ方にトレーニングなどの指導を受けていてSNSもしています。(MLBサンディエゴ)のダルビッシュ有も(引退したサッカー日本代表)岡崎(慎司)も同い年で、ケガをしたり、ひざが痛いんですよ、とか何かヒントが欲しい時には連絡取り合う仲間です」と笑った。
 1990年代の
日本のスポーツ界には「30の壁」があった。30を過ぎた頃からベテランと呼ばれキャリアはゆっくり曲線を描いて引退に向かう。しかし30年をかけた日本のスポーツ界には、医学、環境が大きく進化し、そこに選手たちの高い意識や日常的な努力が積み重なった。今年40歳を迎える右代が「まだまだ強くなれる」と確信するように、壁は「40歳」まで悠々伸びた印象だ。
 右代は「長友もそうですがみんなの合言葉みたいなものがあって、それは健康でいよう、という考えなんです。そのために食事、トレーニング、睡眠を主体にする休養を中心にしなくてはなりません。みんな本当にこだわりがあって、睡眠をコントロールしてくれるベッドまで買っちゃったり・・・長友もケガをしない健康な体作りを徹底していました」と、39歳で壁突破に挑む仲間たちを称賛し、ともに闘う。
 40歳からさらに競技力を向上させる。右代、
長友、ダルビッシュ有らトップ選手たちの背中が日本のスポーツ界に指針と光をもたらしてくれる。とても楽しみな卒業。

[ 前のページ ] [ 次のページ ]

このページの先頭へ

スポーツを読み、語り、楽しむサイト THE STADIUM

増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

最新記事

カテゴリー

スペシャルインタビュー「ロンドンで咲く-なでしこたちの挑戦」