「もしビールをおごるとすれば・・・」「もちろん森保監督に!」2G1Aで「MOM」獲得の上田綺世 4年前の2戦目の悔しさ晴らしてW杯初ゴールに森保監督と「乾杯」
前後半の2点と、伊東への正確無比なフリックをアシストにし2G1Aの上田綺世が「マン・オブ・ザ・マッチ」に選出された。取材のゾーンとはまた違うスポンサー(ビール会社のULTRA)のブースで取材に応じた上田に、日本語が話せるレポーターが質問した。
「あなた一人の力で活躍したわけではなくてみんなのお陰、と上田さんが思っていると分かっていますが、もし誰か1人にこの賞の副賞となるビールをおごるとしたら、どなたにおごりますか?」
上田は笑顔で即答した。「もちろん森保監督に!」
上田の洒落たユーモアと、「もちろん」の中に4年前の悔しさを監督とも晴らせたという思いが込められているようだった。
ー本当はオランダ戦でガリガリ削られていたのでは?ー
オランダ戦翌日、15日のトレーニング(ナッシュビル)を「疲労のため」(広報と上田の説明)1人別メニューで行った。しかし16日、上田が取材ゾーンを通過した際少し話を聞こうとフェンス近くに寄った時、ジャージの隙間から左の足首の付近に大きく紫色に変色している打撲の箇所が見えたように思う。オランダリーグの得点王は、相手の凄まじいマークで何度も足を狙われていたのだろう。別メニューの本当の理由だったのではないかと勝手に想像した。
15日のミックスゾーンで「疲労だけです」「大丈夫です」と記者たちに別メニューの理由を伏せて説明していたのは、チュニジア戦への覚悟だったのだと考え足の質問はしなかった。代わりに4月に誕生した娘さんの話を聞いてみた。
「もうホント、信じられないくらい可愛いんですよ。何というかメチャクチャ可愛い!子どもの顔を見てると自然と自分ももっと頑張らなきゃって思うものなんですね」
大学から取材してきたが、こんな笑顔で娘自慢をする男性になったんだ、とデレデレの顔を見ているのが楽しくなった。
W杯に入る前には夫人の実家に行き2人と束の間の穏やかな時間を過ごしたという。お風呂やおむつ交換にも参加している?と聞くと、「はい、一応やっています・・・でもできる範囲で」と笑う。できる範囲、というのはコンディションイングのための睡眠は削れないからで「できる範囲内」とした上田らしい実直な答えに吹き出してしまった。
ー森保ジャパン2期目の北中米W杯の予選は上田のハットトリックで幕を切ったー
4年前のカタールW杯では2戦目のコスタリカ戦に先発したが前半で交代。今回の代表合宿が始まった日、今、その4年前をどう見ているかについて上田に聞いている。
「4年前は代表にギリギリ呼んでもらえたけど、何も貢献できなかった。チームとしては、ベスト16で惜しかった、目標としていた場所まであと一歩でしたが、僕自身は全然そんなことなくて、それを悔しがる権利もないような感覚。悔しいという感覚も、よく理解できないようなレベルでした」と繊細な答えをした。
4年間でベルギー、オランダリーグで成長を続けフェイエノールとでは今季31試合出場で25得点を記録し、日本人選手史上初のエールディヴィジ得点王に輝いた。
森保監督は2019年、代表監督に就任して最初の国際選手権となった「南米選手権」(コパアメリカ)で上田を代表デビューさせ、以来、五輪、カタールW杯、親善試合で成長を見守ってきた。コパアメリカでブラジルメディアに上田が酷評されると大学生FWをかばった。6年後の昨秋、若きFWを酷評したブラジルとの親善試合で上田が決勝ゴールを決めた際には「(上田は)自分の思っていた以上に成長してくれていると思っています」と喜んだ。
カタール大会から今大会を目指して森保監督の2期目がスタートを切って迎えたアジア2次予選、この北中米大会への道はミャンマーとの初戦(大阪)、上田の代表初のハットトリックで幕を切った。上田の最初のゴールの瞬間、森保監督が見せたガッツポーズに4年が詰め込まれていた。
「ようやく4年前の悔しさを晴らせた気がします。きょうは絶対に勝ちたかったし貢献ができてホッとしています」
上田と監督の「乾杯」、宿舎でお茶で実現しただろうか。
日本代表は21日、モンテレイからベースキャンプのナッシュビルに移動する。


