スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2026年6月16日 (火)

井原正巳さん解説 W杯日本代表初戦のオランダ戦「急がず、焦らず、慌てなかった日本代表、’大人のサッカー’で勝ち点1を掴んだ」

井原正巳さんオランダ戦解説
日本が初出場を果たした98年W杯フランス大会のキャプテンで昨年殿堂入りを果たした井原正巳さん(58)は今大会、NHKの解説者としてダラスに滞在中。14日のオランダ戦を観戦後、スウェーデン対チュニジア戦の解説を務めた。試合後、増島がインタビュー取材

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 日本もオランダも様子を見ながら御互い慎重に試合に入ったと思います。後半、先制されましたが日本代表が急ぎ過ぎない、焦らない、慌てずにとても落ち着いて冷静に試合を進めていたのが印象に残りました。W杯のような大舞台で先制されれば当然焦ります。前線からボールを奪おうと突っ込んでしまったり、早く追い付きたいがために急いでボールを回してしまったり、チーム全体が落ち着きを失えばかえって勝機が逃げてしまいます。
 カタールW杯初戦のドイツ戦では前半1点を先制されてハーフタイムを挟んで後半に逆転。スペイン戦も前半1点奪われ後半逆転しています。ハーフタイムに精神的にも戦術でももう一度確認し合い、落ち着きを取り戻して逆転しましたが、オランダ戦は後半に入って2度勝ち越されました。試合前、あるいはハーフタイムのプランとは違うはずですが、ピッチ上で選手たちがとても落ち着いて試合の流れを見極め、急ぎ過ぎず、焦らず、決して慌てることなく2度追い付いた試合展開は「大人のサッカー」でした。

 オランダが終盤に勝ち切ろうと守備に人数をかけて5バックにしましたが、ここでも落ち着いてCKを奪って同点にするなど、ゲームを終始掌握した鎌田大地選手を中心に最後まで冷静でしたね。
 また、特に短期決戦では新しい選手、交代で入って来る選手たちの力がチームに勢いをもたらします。中村(敬斗)選手は、立ち上がりは少し緊張しボールが足に付いていなかったのですが、左サイドで脅威となるプレーをしっかり示しました。小川(航基)選手もゴールは鎌田選手になったとはいえ、壮行試合のアイスランド戦でも見せた「交代で入ったらゴールをする」切り札としての力を発揮し、2人とも今大会初出場で堂々とプレーをしていました。
 後半21分の交代で入った伊東純也選手、30分に入った冨安健洋選手も違いを見せました。こうした「日替わりのヒーロー」、交代で入った選手たちの活躍が日本代表を勢い付かせ、交代や戦術のオプションを増やすいい循環にも繋がると思います。

 森保監督を見ていて、よく口にしていらっしゃいますが「勝つ確率を1%でもあげる」という考えを本当に徹底してやり切っていると感じます。スタッフ、ベンチも全員で試合に勝とうとしている。良いスタートを切ったと思います。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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