スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2026年2月12日 (木)

J3福島 開幕戦で58歳346日のJ最年長出場記録を更新したカズ 寺田監督の大胆な先発起用に「世界的にも例がない。ビックリした」ベテラン起用の新たな形を模索 ミラノ五輪にも「笑顔のなかでメダルを獲っている」とエール

12日=成田 百年構想リーグの開幕戦(対甲府1-4)で先発を果たし自身のJリーグ出場最年長記録を58歳346日に更新したカズ=三浦知良(58=福島)が、チームがキャンプを張る成田で練習後の取材に対応した。1-4での敗戦を課題にしたうえで、寺田周平監督と試合2日前に大胆な「開幕先発起用」について議論し「びっくりした」と明かした。
 カズが驚いたのは、従来にはなかったカズをはじめベテランを「先発」で活かし、流れを作ろうとした寺田監督の斬新な起用法にもある。
 12日の練習後「世界的にも(ベテランを先発させ序盤で交代するのは)あんまり例がないと思う。監督のマネージメントとして交代枠をここで1枚使ってしまうのは(チームにマイナスとなるなど)どうなんだろうと思った」と心境と明かす。監督にも遠慮を伝えたが、監督は「それは問題ない」と返答した。
 ベテランは「ここぞ」との場面で投入されチームを良い方向に導くいわば特別なカードとして考えられる。ただしこの場合、特別を準備するあまり試合中のアップの時間が伸びれば疲労がどんどん増し、戦況も激変する。結果的に起用のタイミングを逸するケースが多い。
 カズは「(甲府との開幕戦へ)みんないい準備をして試合にスムーズに入れた。(戦況やチームメートの動きに)合わせるのは先発のほうがやりやすいしリズムを作れる。これがベテランの使い方になるかもしれない」と、プロ生活41年目での新たなミッション、チャレンジに手応えをにじませる。
 今季の前半に行われる百年構想リーグはカテゴリーではなく地域で区分されるため勝敗はもちろん、チームの存在感、個性、将来性をピッチでどこまでアピールできるかも大事なポイントになる。
 そうしたなか福島を率いて3年目となる寺田監督も大胆なチャレンジした。練習後に、今後のカズの起用は未定と明確にし「若い選手たちも含めて開幕戦でチームに勢いを付けたかった。(J2甲府には敗れたが)選手たちはいい積み重ねをしてきてくれたし、これからもチームのプラスになるのなら(カズの先発も)考える」とした。 そして「カズさんという存在が自分にもチャレンジをさせてくれたと思う。貴重な体験をさせてもらいました」と話した。
 福島は今節、J2いわきFCとのダービーマッチに臨む。監督は「サポーターの皆さんに(試合後も)いい1週間を過ごしてもらえる試合に」と静かな闘志をのぞかせた。

 

                     「本当に誇りに思う」

 ミラノ五輪での日本選手の活躍、メダル獲得についてカズは「ニュースで見るだけですが、笑顔のなかでメダルを取っているように見えてうれしい」とエールを送った。
 開会式が行われた「サンシーロ」にも誰より特別な思いがある。1994年、日本人で最初にサンシーロでプレーしたのはカズ。ジェノアのFWとして出場した前半28分、カズは空中戦でミランのDFで代表の顔でもあったバレージと激突。鼻骨と眼窩(がんか)骨折の重傷に見舞われるデビュー戦だった。
 ミラノ五輪の開会式ではバレージとベルゴミ両氏のレジェンドが聖火ランナーで入場するシーンに会場ではサポーターが歌い出すなど沸いた。今でもバレージとは付き合いがあるそうで「嬉しいです。(バレージが入場するのを見ながら、彼との接触で病院に運ばれたのもサンシーロに立ったのも)本当に誇りです。でもだいぶ痛かったけどね」と笑った。囲みに参加していた若い記者たちはまだ生まれておらず知る由もない。「痛いっていっても何がって・・・そんなの誰もわからないよね」とユーモアたっぷりに話しかけていた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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