「喜びを超えた気持ち・・・」東京デフリンピックのサッカー男子代表・GK松元卓巳が表現した初の壮行会、チームバスでの移動の感動と覚悟
6日は、日本サッカー協会が異例の3部作で記者会見を行う長い一日となった。午前11時からは日本代表(SAMURAI BLUE)が来年の北中米W杯で着用する新ユニホームが初めてお披露目され(6日午前0時に情報解禁)、宮本恒靖会長が「ホライゾン」(水平線)ユニホームに自身の代表経験を重ねてコメントし機運を高めた。
その後、ランチ休憩を挟んでの第2部で東京デフリンピック大会に臨むデフサッカー初の壮行会が行われ、最後の第3部で、森保一監督が今年最後の代表活動となるガーナ戦とボリビア戦の日本代表が発表された。
約5時間にも及んだロング会見でもっとも力強いコメントは、デフ男子日本代表のGK松元卓巳主将のものだった。「男子は最低でも世界一、最高でも世界一という目標でやっている。必ず皆さんに金メダルを見せることをお約束する」と、手話と自らの声で堂々伝えると会場に張り詰めた空気が漂った。
松元は自身デフサッカーの代表活動が19年目になり、デフリンピック出場も4回目となった長く厳しいキャリアを振り返り、日本代表と同じユニホームを着る夢が叶い、代表が使用する代表チームバスで合宿地Jビレッジまで遠征し壮行会が初めて開催されたこの日を「これまで(かつての環境からは)考えられないようなことが皆さんの力で実現してきました。そしてこんな素敵な場所は初めてになります。考えられないような時代に(知っている自分には)喜びを超えた気持ちがある」と、かみしめた。
厳しい環境にあった時代、デフサッカーの選手たちは自宅から布団を持ち込んで小学校の教室で合宿をし、土のグラウンドでトレーニングを重ねた。しかしそうした環境以上に苦しかったのは、努力をいくら積み重ねても日本代表として認知され応援されている実感を持てなかったことなのかもしれない。
バラバラの組織だった障がい者サッカー7団体が一緒になって「日本障がい者サッカー連盟」を設立したのを機に、マーケティングが整い、日本サッカー協会からの支援を法人として受けられるようになった。元日本代表の北澤豪氏が会長となって各方面と交渉したのも追い風になり、アディダスが提供する日本代表ユニホームの着用、代表が使うのと同じ看板を設置した舞台での会見も行われるようになり、この日、地元日本で開催されるデフリンピックに合わせて男女の壮行会が初めて行われた。また、最後の調整合宿を行うJビレッジには代表のチームバスで移動。こうしたハード面の環境向上だけではないソフトにも手応えがあるという。
7月にはパワハラ問題による監督の交代があったが、JFAのS級ライセンスを持ち高校サッカーの指導でも知られる斎藤登氏が後任に就任。松元は「デフリンピックでS級ライセンスを持ったプロ監督に始動してもらうのは初めて。コーチも皆さんA級(ライセンス)を持っている。監督はミーティングも全てパワーポイントで作成し、コミュニケーションを取ってここまで来た」と、ソフト面でも環境が大きく改善されたとする。
女子主将のGK伊東美和は脳しんとうの回復プログラム中のために初戦出場は難しい状況だが、「(国際大会で連勝中の)アメリカ代表との初戦で対戦する。「後ろ(DF)からしっかりつなぎながらチャンスを作りたい」と、女王との対戦に準備する。
11月14日、男子はイギリスと、女子は15日にアメリカとの初戦に挑む。


