横浜Fマリノス 残留に大きく前進する勝ち点3 PKを決めた天野純の試合後のコメントがマリノスの将来を考えるヒントに。。。
25日=日産スタジアム(観衆2万7356人) 天候雨 気温13・7度 湿度83%
Jリーグ35節が行われ、今季苦しんできた横浜F・マリノス(横浜FM)がサンフレッチェ広島に3-0と完勝し7月以来の連勝で勝ち点を37とした。降格圏内の18位にいる横浜FCが柏に敗れたため、残り3試合となったこの日の時点で両チームの勝ち点差は5に。監督2人が交代するなど残留争いを展開してきた名門は、この2試合で7得点(前節浦和戦4-0)をあげ17位とJ1残留に大きく前進する重い勝ち点3を手にした。
ピッチが雨で難しいコンディションになった試合、前半12分、広島はDFキム・ジュソンからのバックパスを受けたGK大迫敬介がこれを蹴らずに丁寧につないだ。しかし横浜FMのキャプテン喜田拓也がカットすると「できるだけ間髪を入れずにパスを(植中に)出した。ゴールを決めてくれてチームに勢いを付けてくれた」(喜田の試合後の取材対応)と、植中朝日へ強い縦パスを供給、電光石火のワンプレーで先制した。オフサイド判定をめぐるVARが行われたがゴールとなり、横浜FMはこのシュートわずか1本、ボ―ル保持率では広島に70%を持たれるなか前半を折り返した。
後半21分、広島は右サイドから展開し最後は中村草太がゴールを決めたと思われたがVAR判定に。前半のマリノスとは反対にオフサイドだったことが確認されノーゴールに。同じオフサイのVAR判定が試合を分ける結果となった。
後半38分は広島の田中聡が横浜FMの天野純へのファールPKを獲得、天野がこれをゴール右隅に決めて2-0と突き放すとアディショナルタイム1分、天野の右CKからキニョーネスが合わせて3-0とした。前節の浦和に大勝した後の難しい試合を完封でものにし次節の(11月9日、アウェー京都戦)結果でJ1残留が確定する。
大島秀夫監督は「スタジアム全員でゴールを守ったような気持ち。大きな勝ち点3になった。(この勝ち点で)残留に向けて前進はしていますがまだ何も成し遂げてはいない。これまでと変わらず1歩1歩積み上げていくことを忘れないようにしたい」と気持ちを引き締めていた。
「自分たちの本来の姿じゃないけれど、時代の流れにアジャストできている」試合後の天野のコメントの含蓄
PKでゴール右端に決めた天野は試合後のミックスゾーンで、現在マリノスがチャレンジするボールを持たない展開でチャンスを確実にものにするサッカーについて触れた。前半、ポゼッション30%、シュートわずか1本での先制はこうしたサッカーのひとつの手ごたえだろうか。
天野はそれを聞かれ「自分たちの本来の姿じゃないけれど、時代の流れにアジャストできている」と言った。天野は純粋にピッチ上の話について、マリノスが目指してきたサッカーとは違っているが、欧州のサッカーを中心にポゼッションが勝敗に直結してはいない、というサッカーの潮流について抑えたコメントをしていたのだと推察できる。
天野のコメントを聞きながら、では横浜Fマリノスそのものはどうだろうか、と考えた。
日産自動車は過去最大の赤字とそれに伴う大幅な人員削減で、ついに追浜工場を閉鎖して九州へ移転する。CFGとの10年に及ぶパートナー契約も解消した。こうした中、日産自動車が保有する横浜F・マリノスの株式の買収について、「ノジマ」の野島広司 社長が「正式に話があれば検討する」と表明。しかし75%を保有するマリノスの運営会社である日産は「今後もマリノスの筆頭株主であり続けます」と声明を発表し身売りに関する情報を一先ず封印している。
マリノスの中山昭宏社長は9月30日に「日産自動車が親会社というのはある意味当たり前ではあるし、それでできてきたクラブだと思います。オリジナル10でもJ1でずっと戦い続けて、親会社が変わっていないのはうちだけになっています」と複雑な状況を背景にしたうえで慎重にコメントしていた。
市民に愛され、冷たい雨のなかでも、たとえ降格の危機に瀕してもスタジアムにかけつけて声援を送るサポーターが愛するのは親会社が日産自動車のマリノスなのだろうか、と考える。サッカークラブは新陳代謝を繰り返し、一方、クラブフィロソフィーは堅守しながら企業を離れて地域の財産になっていくもので、「オリジナル10」で親会社が変っても何も問題がないのではないか。ホンダとの提携を破棄したのにも似た日産の表明が、サッカーではより柔軟になると期待している。日産スタジアムの次の命名権をノジマが獲得するのはその一歩かもしれない。天野の「時代にアジャストする」というピッチ上のコメントの含蓄を思った。


