スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2025年10月 4日 (土)

Jリーグ 9月勝てなかった浦和「ツキ(月)」が変わり10月初戦で神戸をくだし公式戦7試合ぶりの勝利 ルーキー根本がJ先発デビューで「最高の1日。A代表を狙う(W杯メンバーに)入りたいと思う」と手応え 

             「GK西川、流れを引き寄せる読み」
4日=埼玉スタジアム Jリーグ第33節が各地で行われ、8位の浦和レッズは優勝戦線にいる2位ヴィッセル神戸(ともに試合前)をホームに迎えFWのイサーク・キーセ・テリンのヘディングによる決勝ゴールで1-0で神戸を下し、未勝利だった9月から「ツキ」が変わった10月に入った最初の試合で公式戦では7試合ぶり、Jリーグ5試合ぶりとなる待望の白星を手にした。神戸は次節(17日)で勝ち点4差で追う首位、鹿島との直接対決を控えているなか足踏みした格好だ。

 ともにCBが出場停止で不在となった試合、浦和は今季、流通経済大から加入したDF根本健太がJ1リーグ初先発に起用され持ち味の空中戦を含め落ち着いた守備でDFラインで存在感を示した。前半39分、神戸は浦和のDF荻原拓也の手にあたったとしてハンドの反則でPKを得た。キッカーの宮代大聖と浦和のGK西川周作は昨年の32節でも対面しており、西川は「ストライカーは自分を強く持っている。(去年と)同じところに蹴って来そうだと思った」と、宮代が蹴った昨年と同じコースをまたも西川が止め、これが浦和に流れを引き寄せた。
 後半立ち上がりの2分、金子拓郎が右サイドFKを獲得。サヴィオが蹴ったクロスにテリンが高い打点でヘディングシュートを決め、今夏加入の新エースのJ1初ゴールが決勝点となった。
 試合後、根本は9月3日はルヴァン杯のためこの日がJリーグデビューとなったメモリアルゲームについて「最高の1日になった」と、ほっとした表情を見せた。試合に向けて行ったトレーニングを試合で出せなければ意味がない、と強い気持ちで臨んだという。プレッシャーについて聞かれると「プレッシャーはあるけれど、それに負けたらサッカー選手としてダメなんで。試合後のピッチインタビューのほうが緊張しました」と頼もしさも。
  そして日本代表について「(年代の)代表にも呼ばれてきたのでもちろんA代表にも、(来年のW杯にも)入りたいと思います」と、強い気持ちを示した。日本代表は現在、伊藤、高井、冨安、町田と、センターバック陣にケガ人が多く森保監督も苦しい台所事情を抱えて10月の親善試合2試合(パラグアイ、ブラジル)を戦う。
 実は根本、すでに「森保ジャパン」でプレーをしていた。22年1月、日本代表は流通経済大とトレーニングマッチを行った。7-0で終わったが、この試合の後半、1年生だった根本が代表のDF谷口彰吾と代わって「サポートメンバー」として日本代表に加入しプレーをしている。面白い巡り合わせを、取材後、ゲキサカの竹内記者に指摘され思い出した。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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