スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2025年9月14日 (日)

世界陸上2日目ナイトセッション 男子400㍍で中島佑気ジョセフが日本新記録を大幅に更新する44秒44をマークし準決勝に進出 男子走り高跳び赤松、瀬古の2人が世界陸上では初めてペアで決勝進出

14日=国立競技場 ナイトセッションが行われ、男子400㍍の中島佑気ジョセフ(富士通)が予選2組に出場し、44秒44の日本新記録をマークして2位となり準決勝進出を果たした。前回23年ブダペスト世界陸上で佐藤拳太郎(富士通)がマークした出した44秒77を0秒33と大きく更新。世界陸上3大会連続出場の経験を活かして16日の準決勝に進んだ。また7月の日本選手権で優勝したがゴール後に失格。審議入りした結果、優勝と再判定されるなど難しい状況を乗り越え代表入りを果たした佐藤風雅(ミズノ)は1組目で45秒10の5着と予選敗退したがシーズンベストをマークした。
 中島は22年オレゴン世界陸上では男子1600メートルリレーで4位入賞を果たし、23年のブタペスト大会では400㍍で準決勝進出を果たし400㍍をリードする存在に。1991年東京世界陸上では、400㍍で高野進氏が日本人として初めてこの種目で決勝進出を果たして「ファイナリスト(決勝進出した8人)」とのワードが陸上だけではなく日本のスポーツ界に深く浸透するきっかけになった。レース後「日曜日でスタジアムの雰囲気が凄くて背中を押されいいレースが進められた。その熱気は活かしつつ、頭は冷静に自分のレースをしたので(44秒台の日本記録は)出るかなと思った」と、充実したレース運びを落ち着いて振り返った。
 今季は脚を痛めリハビリを行うなど基礎的な力を見直し復調。「ようやく自分のやりたいことが100%できるようになってきた」と、
7月の日本選手権で4位になると8月にも日本歴代3位となる44秒84をマークして好調の波に乗って世界陸上を迎えている。高野氏の日本記録超えだけではなく、34年ぶりの東京で巡って来た「ファイナリスト」のチャンスをどん欲に掴みに行く。準決勝は16日に行われる。

 男子走高跳予選では、昨年のパリ五輪で5位に入賞した赤松諒一(SEIBU PRINCE)と、今季日本歴代3位タイの2㍍33をマークしている瀬古優斗(FAAS)がともに2m25をクリアして決勝進出を果たした。赤松は、2㍍16、21、25を全て1回でクリア。A、B両組合わせて1位タイとなる安定の跳躍で決勝に進出。瀬古も2㍍25を1回でクリアして全体4位で予選を抜けた。世界陸上は今回の東京で20回目で、走り高跳びで2人が決勝に進出できたのは初めてとなる(日本陸連歴代資料より)
 赤松は「まずは予選を突破するという目標を達成できてよかった。まだ(ケガに)痛みが出るが決勝はアドレナリン何とか跳びたい」とホッとした様子で昨年のパリ五輪に続く決勝進出に冷静だった。
 瀬古は初の決勝進出に「先輩(赤松)の胸を借りて思い切ってやろうと思う」と意欲を見せた。16日に決勝が行われる。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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