スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2025年9月21日 (日)

世界陸上最終日モーニングセッション 400㍍リレー、1600㍍リレーで異例の救済レース 400㍍リレーで南アは敗退、1600㍍リレーでアメリカがケニアをくだして決勝へ 大歓声に「決勝は残念だが、忘れられない日になった」アフリカ短距離界の南アのシンビネ

21日=国立競技場 20日に行われた男子400㍍リレー予選で救済対象となった南アフリカの単独再レースが行われた。南アは決勝進出をタイム2番手で決めたフランスがマークした38秒34を上回れば日本などとともに決勝進出が可能だったが、38秒64で進出できなかった。
また1600㍍リレー予選でも、ザンビアのアメリカとケニアに対する妨害が認められザンビアは失格。決勝進出をかけて両国が1対1のレースを行い、アメリカが2分58秒48のシーズンベストでケニアを下して決勝進出を決めた。アメリカは4連覇をかけて20時20分からの決勝に臨む(再レースはメンバー、走順の変更はできない)
 この日の午前セッションは10種競技の110㍍ハードル、円盤、棒高跳びが行われ、ファンは思わぬ「再レース」に大歓声と拍手で見慣れないリレーを応援。ゴール後、南アのシンビネが「この日が誕生日」と場内アナウンスで紹介されるとさらに大きな拍手で祝福した。
 南アは①マスワンガニー②ダンビレ③ンクアナ④シンビネ とつないで38秒34の突破を目指したが進出はならなかった。レース後、マスワンガニーは「とても残念だ。もっと速く走れたと思う」と、昨晩のレースから(午後8時半)夜中に再レースが決まり、今朝10時半の競技開始に備えるのも簡単ではなかったと説明。4人一緒に取材ゾーンでインタビューに応じながら無念さを漂わせた。今大会100㍍でもファイナリストになり7位(10秒04)に入った32歳のアカニ・シンビネも「このような(単独)レースは難しい。残念だ。でも再レースのお陰で4人で朝食をとり、バスに乗って競技場に入る。あまり経験できない時間を共にし、そしてゴール後、観客にまで拍手をもらった。忘れられない誕生日になる」と、再レースと重なった誕生日に笑顔を見せていた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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