世界陸上大会7日目ナイトセッション 女子やり投げで連覇を狙った北口榛花が予選落ち「自分のやりがどれくらい前に飛ぶかを想像できずに練習してきた。ちょっと長い休みは必要かも・・・」右肘のケガが影響か
大会7日目ナイトセッション 女子やり投げの予選が行われ、昨年のパリ五輪金メダルを獲得、日本女子初の世界陸上連覇を狙うディフェンディングチャンピオンの北口榛花(27=JAL)がA組に出場した。決勝進出ラインは62㍍50に設定され(もしくは上位12名)試技順もトップと緊張感が漂うなか、心配されたひじの具合を試すようにテープを外して投じた1本目は60㍍31。北口も60㍍越えに両手を胸の前で重ねて少しほっとした笑顔を見せた。1投目に、オーストラリアのリトルが65㍍54と決勝進出を決め、北口は1投目を4位でスタートした。
2投目も60㍍38と伸びずほかの選手の試技で7番に後退。3投目は58㍍80で8位で組の予選を終えた。
上田百寧(26=ゼンリン)も2投目に60㍍49を投げて北口を上回る7位でともに競技を終え、B組が終了し上田が全体の13位、北口が14位、武本紗栄は55㍍11で30位で予選突破は叶わなかった。
北口は20年東京五輪(21年開催)の予選では63㍍の決勝進出ラインで1投目に62㍍06を投げ予選突破をほぼ確実に(決勝12位)。初めてメダル(銅)を獲得した21年オレゴン世界陸上でも62㍍50のラインを1投目で64㍍32で楽々と記録で突破した。金メダルを獲得した前回23年のブタペスト世界陸上は決勝進出ライン61㍍50を2投目の63㍍27で突破。昨年金メダルを手にしたパリ五輪でも(進出ライン62㍍)を1投目で抜けてしており(62㍍58)、予選に限っては2投目までの先手必勝の投てきで余裕をもって決勝に臨んできただけに、この日3投目の試技をしなければならなかったこと自体、いかに厳しい状態にあったかを物語っていた。
6月に「右肘内側上顆炎」と診断され7月の日本選手権を欠場。復帰戦となった8月20日のダイヤモンドリーグ(DL)は、50㍍93で最下位に沈んだ。しかし28日のDLファイナルでは最下位(6位)ながら60㍍72と短期間で記録を戻すなど復調のきっかけを掴んでここまで調整を続けてきた。
取材ゾーンには号泣しながら歩いて入ったが、(取材の前に)「宜しく御願いします」とマイクの前で集まった取材陣に一礼した。いつもの笑顔と涙が何度も交差した取材の最後、北口は「決勝に残れなかったからといって人生が終わりだとは思っていません。ちょっと長い休みは必要かも知れませんが、強くなってちゃんと戻ってきたい」と上を向いた。
21の東京五輪、22年オレゴン、23年ブタペストと2年連続での世界陸上とメダリストへの大飛躍、昨年のパリ五輪金メダリストと今年の世界陸上とここまでコンスタントに力を発揮し続けた安定性は驚異的なレベルだった。自身が口にした「長い休養」と、環境ほかリセットとリスタートのタイミングだろうか。


