世界陸上男子マラソン 20回目の世界陸上史で初のマラソン「同タイム決着」42・195㌔走ってその差わずか0秒03!!と判定 タンザニア初のマラソン金メダルのシンブ「ベリー、ハード、タフ」を連呼し喜ぶ
15日午前7時半にスタートした男子マラソンで過酷だったのは、気象条件だけではなかった。37キロからの厳しい上りを終えてトップグループは5人に絞られた。ラスト1㌔、ゴールの国立競技場に入るとアルフォンスフェリックス・シンブ(タンザニア)、アマナル・ペトロス(ドイツ)、イタリアのアウアニの3人による「メダルの色争い」の火ぶたが切られた。
アウアニが遅れ、ペトロスが先にペースアップしゴールを目指したが、ラスト数㍍でシンブが猛迫。長く、過酷な42・195キロを走り切ったにもかかわらず2人とも2時間9分48秒の同タイムでゴール。WA(ワールドアスレチックス=世界陸連)が、2人がまるで短距離走のように胸を突き出した(トルソー=胴体)ゴールライン上で着順を決める写真判定を行った結果、その差はわずか0秒03と判明した。今回で20回目となった世界陸上マラソンでも同タイムまでもつれ込んだレースは初めてとなった。ロード競技の規則では秒未満は切り上げるため公式記録は同タイムとなる。
こちらも「史上初めて」タンザニア勢としてマラソンを制したシンブはレース後、「とても、とても、とてもハードな、ハードなレースだったよぉ」と、「ベリー、ハード、タフ」を連呼。勝ったかどうか電光掲示をみるまで分からなかった。暑さの影響はレース中盤から気にならなかったようで「準備してきた通りにできた。給水も、体にかけるスポンジも、氷も準備してもらっていて基本的な対策がとても良かったと思う。スタジアムの周りを走っていた(下見)のも良かった。タンザニアに歴史を作れて本当に嬉しい」と、レース後も疲れた様子もなく各国メディアの質問に答え続けていた。
100㍍と同じく写真判定で2位とわずか0秒03差だったと伝えると「ワオ!」笑った。日本のマラソンファンには、瀬古利彦さんとかつてライバルとしてしのぎを削ったタンザニアのイカンガー氏を思い出す人も多いはずだ。「彼は私のレジェンド。今回もアドバイスをもらって臨んだ」という。フライングで始まり、同着0秒03差の劇的なゴールに、日本のマラソンファンにもなじみのあるタンザニア初の金メダル。色々な意味で「歴史的レース」に、世界陸上の勢いも増していきそうだ。


