スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2025年9月15日 (月)

世界陸上3日目 ナイトセッション 男子110㍍障害で村竹、野本が準決勝進出も泉谷が予選敗退 

男子110m障害の予選が始まり、日本記録保持者の村竹ラシッド(23JAL)が5組目に登場、13222着で、準決勝の進出条件となる組での上位4着に入る力を見せて16日の準決勝に進出した。同じ組には、世界陸上3連覇中でパリオリンピック金メダリストのホロウェイ(アメリカ)が隣のレーンに。村竹は落ち着いて慎重なスタートを切って最初のハードルから加速。ほぼ満員となったスタンドから大きな歓声を受けて着順をしっかり取り、昨年のパリ五輪決勝進出より高い目標、メダル獲得へ好発進した。
 3組目には29歳で世界陸上初出場となった野本周成(29=愛媛競技力本部)が13秒29で、こちらも4位と上位着順を取って準決勝に進んだ。2大会連続の決勝進出を目指した泉谷駿介(25=住友電工)は1組で、スタートで大きく出遅れてしまい13525着。タイムで拾われる可能性を残したが、わずか001及ばず予想外の予選敗退となった。
 村竹は取材ゾーンで「いやぁ、こんなにお客さんが入っていると思っていなくて正直びっくりしていますけど、大観衆の中で走れてとても嬉しいです。余力を残してゴールできた。まだ動きに緩慢さが残っているが(準決勝では)力強さと切れ味を出せるレースで決勝にいきたい」と、昨年のパリ五輪5位の経験なのか落ち着いた口調で話していた。 パリでは着順ではなく記録で拾われた形で決勝をものにした。
 野本は、泉谷が1組目でスタートをミスしたレースに「ちゃんと(音を)聞いてから出ようと。たとえリアクションタイムで遅れても大丈夫と(おちついてコースに)出られたので、逃げろ、逃げろ、と自分に言い聞かせながら走った」と、初めての大舞台でこれまでの経験を最大限生かした冷静さで準決勝へ。 

 2大会連続で入賞を果たし110㍍ハードルを牽引してきた泉谷は、スタートで隣が先に動いたと判断してスタートのやり直しをセルフジャッジ。しかしそのままレースが進んだために大きな遅れを取り戻せなかった。「自分がそうなってみると焦るものですね。動きは悪くなかった。また色々なことを学べたと思う」と悔しさをこらえて話をした。

 

 

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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