Jリーグ マリノス対ゼルビア戦後 森保監督と喜田拓也 誕生日が同じ2人の8月23日
マリノスが大切な勝ち点1を拾い上げた試合後、23日、57歳の誕生日を迎えた森保一監督にささやかなお祝いを伝える囲み取材が行われた。だるま型のサインボールとひまわりの花束を受け取った監督は「(報道陣に)何かお返しできるものを持って来なくてすみません!」と照れくさそうに笑う。監督に在位したこの8年、誕生日と取材日が本当に「重なった」のも初めてだっただろうか。監督が「W杯に向けて、これまでもそしてこれからも全力疾走で走って行きたいと思っています。高みを目指して、チームの選手、スタッフ、サポーターの皆さんと一緒に挑んでいき、より多くの日本国民の皆さんに共闘していていただけるようにしていきたい」と、報道陣に応える姿に、W杯と監督の任期と両方を「全力疾走で」と指したように感じた。試合視察後、どれだけの囲み取材に対応してもらったのか数え切れない。会見ではないので取材に応じるかどうか、監督が決めるものだ。しかし移動などでよほど急ぐ場合を除けば報道陣に答えなかったシーンは8年間なかった。
23日、W杯の組み合わせ抽選会が12月5日、米・ワシントンで行われると正式に発表された。「どの組に入っても厳しい戦いになるとは思いますけど、どの対戦国とグループリーグを戦うんだということにおいてはワクワクします」と楽しそうに言った。たとえば「死の組だけには入りたくない」など雑談なら答えられるはずだが、「ワクワク」とのワードに日本代表のポジティブさや選手がこれを読めばどう感じるかなど多くの情報が込められているはずだ。
勝ち点1をもぎ取って降格圏内から半歩脱出したマリノスのキャプテン、喜田拓也もこの日が誕生日。こちらは31歳。苦しい状況でピッチでもピッチ外のスタッフも踏ん張っているマリノスへの敬意をこめて、囲みの最後に監督に「喜田キャプテンもお誕生日です」と、質問した。森保監督は喜田を「ピッチに立っているときも、ベンチにいる時もマリノスのために本当に戦って、男気があってチームのために自分の全てをかけて闘うキャプテンの姿勢、態度がチーム一丸となって強くなる礎かと思う」と称賛。喜田も試合後「苦しい状況に自分のことで一杯一杯になっている時、たとえばこのチームでプレーできていること、みんながいること、サッカーができること、普通に(ケガなく)歩けていること、どれも当たり前じゃないんだってしっかり感謝したいと(今季の苦しい中でも)プレーして来ました」と、苦しい時期のメンタルについて率直に答えた。
来年のW杯のシミュレーションを兼ねた米国遠征に向けて近く代表メンバーも発表される。監督の視察、視察後の囲み取材を長く続けて来たが、監督は日本代表選手を探しているのではなく、日本人の指導者としてJリーグの選手たち、それは順位に関係なく、日頃のプレーを、それぞれが戦う様子を見ているのだと喜田へのコメントが教えてくれる。
喜田が言った「当たり前に」行われ、続くと思っていた視察や囲み取材もすでに「カウントダウン」が始まっているのだとと改めて気づいた。


