スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2025年6月18日 (水)

サッカー女子「なでしこジャパン」世界ランキング2位のスペイン戦メンバー18人発表 キャプテンには長谷川唯指名も異例の「キャプテングループ制」で4人でキャプテン

17日=オンライン 27日に世界ランキング2位で今年の「UEFA Women’s EURO 2025」の筆頭優勝候補、スペインとの強化試合(日本時間28日、マドリード)に臨むサッカー女子の日本代表「なでしこジャパン」(世界ランキング7位)のメンバーが発表され、5月と6月のブラジル遠征は体調不良で不参加だったマンチェスターシティー(イングランドスーパーリーグ)のMF・長谷川唯をはじめ海外でプレーする主力18人が選出された。
 この日、ニルス・ニールセン監督は17日オンラインで会見に出席。「世界最強といってもいいスペインとの対戦で新たな学びを得たい。これまでの(アメリカでのシービリーブスカップとブラジル)遠征での蓄積を次の試合で試したい」と抱負を話し、
ユニークな「キャプテングループ」とのアイディアも明かした。
 監督は、長谷川をキャプテンにするとしたほかに副キャプテンには南萌華、そのサポート役に熊谷紗希、田中美南を指名した。「キャプテングループ」という異色のチームマネージメントについて「私が提案して、考えたキャプテングループ。なでしこジャパンで新しいアプローチをした理由は、選手ひとりが大きな責任感を背負うのは大変だと思ったから。キャプテンをひとりにすると、その選手を助けられるのはヘッドコーチしかいない。4人で補完し合うほうが日本には合っている」と明かす。荷を一人で負ってこその「キャプテン」だが、「大変だから負わせないようにする」とのマネージメントは異色で、チームにどんな変化をもたらすのか期待される。
 

 27年W杯ホスト国のブラジルとアウェーで強化試合を行った5、6月の2試合では、ブラジルのフィジカル、スピードや個人技、メンタルといった、海外でプレーしている選手たちこそ体現しなくてはならない球際の強さで全く勝てないまま2連敗を喫した。
スペインとの直近の試合でも連敗している。前回、23年オーストラリア・ニュージーランドW杯では同じグループで互いに突破を決めた後の3試合目で対戦。圧倒的なボールポゼッションを持ち味とするスペインに対して、引いてカウンターを繰り出し4-0勝利したが結局大会の優勝はスペイン、日本はベスト8で終わった。
昨年のパリ五輪でもグループリーグで対戦し23年W杯のリベンジに燃え圧倒的なボール保持を見せたスペインに1-2で敗れている。監督は「スペインのスタイルを模倣しない。日本は技術的なパスワークやボールコントロールに加え、規律やチームとしての強いメンタリティを融合させることで独自のアイデンティティを築こうとしている」と説明する。就任から半年、「自分たちのサッカーに自信を持って欲しい」とチームをまとめて優勝したシービリーブス杯から現在地の課題を洗い出す試合になる。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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