スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2024年12月29日 (日)

WEリーグカップ戦「クラシエカップ」初の国立競技場決勝にWE最多2万1524人観戦 サンフレッチェ広島レジーナが連覇

29日=国立競技場(観衆2万1524人、優勝賞金1000万円) 女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」のカップ戦で今年から初のタイトルにパートナーが付いて「クラシエカップ」となった決勝が、昨年のWEリーグカップ女王「サンフレッチェ広島レジーナ」と「INAC神戸」で争われ、前半の先制点を守った広島が1-0で神戸を下して連覇を果たした。
 試合開始直後から広島はボール保持、神戸は速い展開の攻撃と互いの持ち味を出しながら相手にプレッシャーをかける激しい展開に。33分、広島はゴール前中央から日本代表FW・中嶋淑乃が相手に囲まれながらも粘って左にパスを出すと、日本代表に選出されているMF・上野真実が左足でシュート。DFに当たってコースが変わりGKの逆をついて先制ゴールを奪った。1週間前の22日には、皇后杯準々決勝で対戦し0-1で敗れた広島は、今季リーグ戦を含めて神戸に連敗を喫した雪辱を果たそうと気持ちを全面に出して体を張って、後半途中らは得点力のある神戸FW陣の猛攻を抑えて逃げ切った。

                「若いチームレジーナ強さの理由」
 広島は21年にクラブが立ち上がったばかりの若いチームだが、カップ戦を連覇し、浦和レッズレディース、日テレ・東京ベレーザといったJリーグが女子を持つクラブに並び男女で優勝経験を持つ名門として存在感を築いた。広島を声援するのと同じスタイルでサポーターが選手を鼓舞したのも勝因のひとつだろう。
 この日ベンチから大きな声でチームを鼓舞していたGK・福元美穂、じん帯損傷でリハビリ中の昨年のキャプテン・近賀ゆかりと2011年W杯ドイツ大会優勝コンビを含め今に繋げた選手育成、補強など男子トップのサンフレッチェのノウハウを存分に活かしたチームの丁寧な土台作りが実を結んだといえる。2人は40歳を過ぎても良いコンディションを維持するなど、「サンフレッチェの女子サッカーチームはこういうクラブ、という目標を示してくれる。2人がいたからここまで来られた」(左山桃子主将)と、連覇でさらに大きな一歩を踏み出した。

           「日本サッカーファミリーの力を集結 JリーグJFAのサポーターIDを活用」
 今大会は決勝で初めてとなる国立競技場での開催を実現し、この日は入場者発表で2万1524人が集まり今年4年目を迎えたWEリーグ歴代最多(WEリーグ従来の最多は22年5月の神戸対浦和=国立競技場1万2330人)となる観客数を記録。昨年のWEリーグカップ決勝は等々力スタジアムで行われ観客は6261人で大きく上回って、コロナ禍でのスタートから観客動員で伸び悩んで来た女子サッカーの今後に大きな弾みを付けた。
 試合後野々村チェアは取材に対応し、今回の集客にはJリーグファンが利用する「JリーグID」と、JFAファンが持つ「JFAID」を活用し試合の告知を展開、目標だった2万人に観客を押し上げた一因だという。
 チェアに就任して以来、「サッカーファミリーとして盛り上げて行けないかを考えて来た。ここが先ずはスタートライン。女子サッカーの可能性はもちろんある」と、手応えを明かした。JリーグIDは2017年から本格的に立ち上げて現在登録者約450万人まで拡大している。
 今年、髙田春奈・前チェアの任期満了に伴い、4年目にして大幅な役員の人事異動を行い、Jリーグチェアマンの野々村氏がチェアに、副チェアには宮本恒靖JFA会長が就任。「WOMAN EMPOWERMENT」を掲げた女性躍進の一方、経営状態が悪化するなか、難しいかじ取りでサッカー界全体の力を使う方向を目指して始動した。

 WEリーグは一端ウインターブレイクを挟んでリーグ戦が再開する。1月には皇后杯準決勝と決勝が控え、準決勝(1月18日)WEリーグのINAC神戸対浦和レッズレディース、日テレベレーザ対アルビレックス新潟が対戦する。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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