スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2024年11月 2日 (土)

Jリーグルヴァン杯決勝 120分(3対3)+PK(5対4)の激闘を名古屋が制す 激しい雨中の名勝負を生んだのは選手の強い気持ちと、カップ戦史上最多の6万2517人の観客 

2日=国立競技場(観衆6万2517人) 激しい雨の中行われた名古屋と新潟の「24年JリーグYBCルヴァンカップ」決勝は延長戦にもつれ、3-3のまま名古屋が史上8回目となるPK戦を5-4で制して3大会ぶり2度目、長谷川健太監督(56)指揮下で初の優勝を果たした。長谷川監督は、G大阪、FC東京に続き3クラブでのカップ戦制覇となる。また入場者数は6万2517人とルヴァンカップ史上最多入場数(これまでの最多入場者は2023年に行われたアビスパ福岡vs浦和レッズの決勝で、6万1683人)を記録した。今2024シーズンのJリーグ公式戦においても最多入場者数となった(第23節のFC東京vs新潟が5万7885人が最多)記録的な試合に。

 記憶にも残る試合は、新潟が0-2のビハインドで折り返した後半26分、交代で入ったダニーロ・ゴメスが名古屋DF2人に囲まれながら粘って左足でクロスを出すと、これに谷口海斗がヘディングを叩き込み1点を返して反撃開始。4人目の交代で入った小見洋太がアディショナルタイム6分、名古屋の中山克広と接触して倒れ、これがVARで中山の反則となってPKを獲得すると小見自身がゴール右に右足で決めて土壇場で同点に持ち込んだ。Jリーグ加入から26年で初めての主要タイトル獲得にかけた選手とそれを願って国立競技場に駆けつけたサポーターの気持ちが乗り移ったかのような気迫の同点劇だった。

 2019年以来11回目の延長前半3分、名古屋はユンカー、山岸祐也とつなぎ、最後は中山がボールをピッチに叩きつけるシュートで相手に当たり勝ち越す。しかし新潟は諦めず、PKを決めた22歳の小見が、ルヴァン杯6ゴールで得点王となった長倉幹樹からのスルーパスに左サイドから抜け出し左足でシュート。この試合2度目の同点として試合はPK戦へと入った。元日本代表で前半2点を奪う大活躍を見せたFW永井謙佑(35)は交代していたが、優勝経験者が揃う名古屋は、PK戦の先陣を稲垣祥、クラブ史上最長の7年間在籍し退団が決まっているGKランゲラック、山中亮輔、ユンカー、山岸の5人が全員がPKを成功させる安定ぶりで新潟を振り切った。
 長谷川健太監督は14年G大阪(前身のナビスコ杯)、20年FC東京に続いて3クラブ目での優勝を果たし、リーグ、カップ戦、天皇杯で7冠を達成した。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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