スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2024年11月 7日 (木)

日本代表最終予選インドネシア、中国戦のメンバー発表 最難関のアウェー2連戦で問われる代表の真価と進化「インドネシアの圧力を想像し、落ち着いてアグレッシブな戦いを」森保監督

7日=千葉市内 9月にスタートした2026年ワールドカップ北中米大会アジア最終予選の11月シリーズ2戦に臨む日本代表メンバー27人が発表された。15日にジャカルタでインドネシア代表と、19日の中国の南方で暑さもある厦門で中国と連戦。 FIFA最新ランキングでは日本の15位に対してインドネシアは130位と大きく開いているものの、インドネシアはこのグループでオーストラリア、サウジアラビア、バーレーンとそれぞれランキングで上の相手にドローで勝ち点をもぎ取るしぶとい戦い(0勝3分け1敗の勝ち点3で5位)を身上に日本戦に牙を研ぐ。今アウェーの難しさは最終予選を突破し「世界一を目指す」(森保監督)日本代表の強さの「真価」と「進化」が問われる2戦となる。
 難しい要素はいくつもある。
 まずは環境の大きな違い。27人のうちJリーグからの選出は4人で23人がすでに初冬の欧州から現地への合流となるため時差、暑さと環境の激変を克服しなければならない。
 また2次予選から代表の攻撃の主軸を担ってきた上田綺世(フェイエノールト)がハムストリングの負傷で招集できず、DF冨安健洋(アーセナル)、DF伊藤洋輝(バイエルン)、DF中山雄太(町田)、MF川村拓夢(ザルツブルク)、FW浅野拓磨(マジョルカ)らも負傷で10月シリーズに続いて招集外となった。
 FW古橋亨梧(セルティック)が負傷で辞退した昨年11月のW杯2次予選以来復帰し、また負傷明けのDF橋岡大樹(ルートン・タウン)も6月以来の復帰。10月のサウジアラビア、豪州との(1勝1分)連戦をケガで辞退していたDF高井幸大(川崎F)も選出され
10月の発表メンバーから実に25人が今回も継続して選ばれた。
 この2連戦が新戦力の開拓や新たなシステムを試すよりも、
ここまで積み上げた勝ち点10の中身と対応力が勝敗を分けるとの「勝負」をかけた選出に受け取れる。インドネシア戦で前半を折り返し中国とは最終予選2試合目になる。
 加えて、インドネシアのゲロラ・ブン・カルノ・スタジアムにはインドネシアと、韓国のシン・テヨン監督を熱烈に応援する在インドネシアの韓国財界の強い後押しで7万とも8万人とも言われるサポーターが日本戦に集結すると言われる。森保監督は会見でシン・テヨン監督率いるインドネシアの躍進に触れ、「インドネシアは熱狂的なサポーターの後押しを受けながら仕掛けてくると思う。(インドネシアは守備を固めるより)アグレッシブに戦ってくることも想定し、アウェーの圧力も想像して落ち着いてアグレッシブな試合ができるようにメンタル面も準備しないといけない」と警戒した。
 最終予選では27人を選出し、4人がベンチ外でリスクマネージメントをしており、この4試合をベンチ外でもチームを鼓舞した長友佑都のメンタルの強さの出番かもしれない。
 監督は、移動を除くとわずか中2日で中国戦を迎える厳しい日程について「もっとも大事なのは、選手たちをいかに休ませるか」と話し、インドネシアから中国へはチャーター便が準備された。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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