スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2024年9月26日 (木)

女子プロサッカーWEリーグ新チェアに野々村Jリーグチェアマンが就任 副理事は宮本恒靖JFA会長「経営基盤の安定化と各クラブとの連携強化が自分の役割」野々村氏 平均入場者1700人と正念場の4年目を迎えるWEリーグ

26日=Blue-ing(JFAサッカー文化創造拠点) 女子プロサッカーリーグ「WE(WOMANEMPOWERMENTの略)リーグ」3代目チェア(理事長)にJリーグの野々村芳和チェアマン(52)が、副理事長には日本サッカー協会の宮本恒靖会長(47)が就任し会見を行った。1期2年で退任した高田春奈チェア(47)の後任として、「9回の役員選定委員会を経て」(WEリーグ側の説明)、この日、定時社員総会、理事会が行われ正式にチェアに決定、Jリーグチェアマンとの兼任は初となる。
 野々村氏は、「自分に課せられた役割を明確にしたい。世界に先駆けて女子だけで独立したリーグを運営するのは本当に難しいミッションだったと思う。(自分の任期も)非常事態の中での2年間になるが、女性リーダーにバトンタッチできるようにしたい」と、4年目を迎え、平均入場者数が1723人と収益が伸びず、多くの選手が海外へ移籍する状況で赤字を改善できないなどWEリーグの運営には危機感を示した。
また、任期中達成すべき2つのミッションを、①安定した経営基盤②各クラブとのコミュニケーションとあげる。
 「安定した経営基盤のために収益を上げていくにはどうするか、女子サッカーの特徴を活かして親子でのチケットや若い層へ廉価なチケットを販売する方法もあるかもしれない」とひとつのアイディアを示し、女子サッカーの潜在的な可能性をJリーグ、JFA一体となって伸ばしていく方針をかかげた。現在、浦和、大宮、千葉、東京V、長野、新潟、C大阪、広島の8クラブがJ、WEと男女プロチームを持っている強みを活かし「女子のクラブを持っているということが、評価だったりセールスにもつながるというふうに日本もなる。同じ方を向いて、1つの塊として未来に向かっていきたい」と、これまで強固とはいえなかった各クラブの関係強化に意欲を見せた。

 25日には、今回の人事について女性国際団体「WSI」(ウーマンスポーツインターナショナル、本部アメリカ)に「WEリーグにおける役員改選を非常に憂慮している」と、女性3人の役員が男性3人に代わった点をジェンダーの視点から指摘された。理念の発展や普及を主に分担する宮本副理事長は「女子サッカーの存続は重要で、(女性活躍の)理念ももちろん大切だ。女子リーグの魅力を意識した運営をサッカー界全体でしていきたい」と、2031年女子W杯日本開催を狙う立場と、女性との協調を改めて強調した。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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