スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2024年7月 6日 (土)

陸上男子走り幅跳びの橋岡優輝「パリ五輪では最高の状態で最高に楽しむ」東京五輪で泣いた(メダルまで)11センチの向こう側の景色を描いて欧州へ出発

6日=羽田空港 6月30日まで行われたパリ五輪選考会を兼ねた陸上日本選手権で優勝(7メートル95)し、2大会連続の五輪出場を決めた男子走り幅跳びの橋岡優輝(25=富士通)が、パリでの予選をちょうど1カ月後に控えたこの日、チームの合宿地であるイタリアに出発するため空港で取材に対応した。橋岡は初出場だった東京五輪で、わずか11センチ差でメダルに届かず6位に。その悔しさを成長の糧に2年前にサニブラウン・ハキームと同じ「タンブルウィードTC」(米フロリダ州)に拠点を移すなど環境の変化を恐れず飛び込んで行った。
 橋岡は空港で「1カ月前としてはかなりいい状態だと思う。(3年前の東京は)コロナの問題、初めてのオリンピック、と世界大会での自信はなかった。もし同じ条件で東京五輪に臨んでいたら、あの11センチは跳べるという自信は付いた」と、落ち着いた様子で「11センチの向こう側」に見えるメダルをはっきりと描く。ハキームと同じレイダーコーチに師事しており「スプリンターになれ!」と、スピードを磨くトレーニングも跳躍と同様にこなしてきた。「スピードを殺さずに重心から乗り込んで(踏切りでの)反発をもらえれば、高く飛距離のある跳躍ができると頭ではわかっています」と、技術的にも安定感を増し手応えを口にする。ここから本番までも自然体を貫くと言う。
「先ずは身体を最高の状態にすること。そして最高に楽しむ。誰よりも最高に楽しむ。競技中、たとえ苦しい時でも陸上の深さを味わっている時でも、楽しい時はよくニコニコしているんで・・・もし(パリで)そういうシーンがあったら、あ、アイツ(オリンピックを)楽しんでいるな、と思って下さい」と、観戦するファンたちに早くも「手拍子」を求めるように笑顔を見せた。メダル獲得以前に、予選突破、ベスト8進出と目の前の「踏み切り」をクリアすることも忘れなかった。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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