スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2024年4月21日 (日)

「連敗は絶対にしない。もし連敗したら崖から転がり落ちるように・・・」黒田監督の’崖っぷちマネージメント’で町田がFC東京を2-1で下して首位奪還 昌子主将1年ぶりのフル出場でチームをけん引

21日=味スタ(観衆30811人) J1リーグは各地で第9節が行われ、前節(13日)国立競技場で昨年の覇者・神戸に1-2で敗れた首位を明け渡した町田が、同じ東京に本拠地を置くFC東京と対戦、同点にされたが2-1でFC東京を突き放して勝ち点3を積み上げた。今節を首位で迎えたC大阪が名古屋に敗れたため(1-2)勝ち点19とした町田がわずか1週間で首位に返り咲いた。
 前節から先発5人を入れ替えて臨んだ町田は前半13分、左CKからMF仙頭啓矢が高いクロスをファーサイドに送ると、ナ・サンホがグラウンドすれすれの強烈なボレーシュートをゴール左隅に決め、古巣相手に今季初ゴールを奪って先制した。 
その後、FC東京にハンドでPKを与え同点とされたが、25分にはDFドレシェヴィッチが右サイドからロングフィードでゴールに向かって蹴り込み、これに身長192センチと大型の右サイド、望月ヘンリー海輝が右で長い距離を走って、ゴールラインギリギリでクロス。オ・セフンがそのボールに低いダイビングヘッドで押し込んで4試合ぶりの得点を勝ち越しゴールとして、この1点で逃げ切った。望月はプロ初アシストをマークした。
 町田は後半攻め込まれ厳しい時間帯が長かったが、今季、ケガで戦列復帰ができなかった昌子源がキャプテンとしても、守備の要としてもチームをまとめてけん引。昨年7節の柏戦以来のフル出場を果たしてチームに再び勢いをもたらした。
 
 試合後、町田の黒田監督は「絶対に連敗はしない。(連敗したら)崖から転げ落ちるように、気が付いたら10位とか(2桁順位に)になる。それは去年から選手にずっと言っている」と、昨年の覇者に敗れても1週間でリカバーをする強さの理由を説明。「
首位なのに崖っぷち感」を常にチームに浸透させるユニークなマネージメントが、Jリーグ新入生の強みを最大限引き出している鹿島で勝利のメンタリティーを知り尽くした昌子でも監督の「崖っぷちマネージメント」に敬意を表し、「(試合前のメンバー表を見ても試合経験が少ない)自分たち新参者が、戦う、走るができずに神戸に負けた。だからもう一回それをやろう、とみんなに話した」と、こちらも「首位なのにまるで降格圏内の危機感たっぷり」をチームに浸透させているようだった。
 次節27日はアウェーで磐田と対戦する。昌子は、磐田に今季加入したGK川島永嗣とのフランスリーグ以来となる対面を楽しみにしていると笑顔を見せた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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