スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2023年12月18日 (月)

サッカーチャリティーマッチ 福岡対FCシャフタール・ドネツク2-2「(戦争下でも)不平不満は一切ない。ガンを持ってこの寒さの中戦っている兵士たちを思えば・・・」エース、ステパネンコ

18日=東京・国立競技場(観客約1万8000人) サッカーJ1で今季初めて「ルヴァン・カップ」を制した福岡と、ウクライナの伝統チームで強豪、「FCシャフタール・ドネツク」のチャリティーマッチが行われた。CLのポルト戦から丸1日かけてポルトガルから移動してきたシャフタールは、移動や時差の影響を感じさせない気持ちのこもったプレーで2-2と引き分けとし、同国から日本への避難民や日本在住者、またシャフタールのチャントを響かせた福岡のサポーターたちとともに90分を戦った。試合の収益から、運営経費を引いた全額をウクライナ復興のために寄付する。
 国連のIOM(国際移住期間)は、全国賃貸管理ビジネス協会、アパマン株式会社から約7000万円の寄附を受けて、現在もウクライナの首都、キーウ近郊でロシアによる爆撃で被害を受けた住宅の修繕、改築を行い、住民の帰還の支援を続けている。こうした日本との交流、支援が背景にあり、シーズン中の、しかもCLの直後といった厳しい日程のなか、「炭鉱労働者」の意味を持つシャフタールは慈善試合に来日した。
 マリノ・プシッチ監督は「チャリティーマッチでもどんな試合でも支援をして下さる日本で試合ができることは光栄で名誉だと選手には伝えて来日した。そして多くのウクライナ人、日本の皆さんにプレーを通して勇気を与えられたと思うし、チームの誇りを示せた」と笑顔で会見に臨んだ。
 現在はポーランドのワルシャワに避難を余儀なくされ、そこからバスで往復しながらリーグ戦に参戦する。ウクライナ代表のキャプテンでもあり同国のサッカーを象徴するタラス・ステパネンコも試合後取材に応じ、「今、何がもっとも大変か?」と聞くと、「一切の不平不満は私たちにはありません。なぜなら軍の兵士たちが両手にガンを持って、凍てつく寒さの中で戦ってくれているから私たちはサッカーができるのだから。だから私たちも出来る限り、あらゆる手段でサッカーを続けていく」とき然と答えていた

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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