スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2023年8月19日 (土)

Jリーグ 鹿島が鳥栖を2-1で下し残り10試合の優勝戦線に留まる 鳥栖から移籍の樋口が先制点「育ててくれた鳥栖への敬意を払いたかった」と喜びのポーズ封印

19日=県立カシマサッカースタジアム(19693人) 気温28・3度 湿度62%
Jリーグ24節が行われ、前節に5試合ぶりに敗戦した鹿島(5位)は、ここ3試合勝利のない鳥栖を迎え、上位グループに食らいつくために勝利を積極的に狙う試合となった。26分、エリア手前でボールをピトゥカが樋口雄太にパス。樋口は「ゴールに向かう前向きなプレーを心がけてやってきた」と、チーム全体を鼓舞する姿勢で左足でゴール右隅にシュート。鹿嶋が先制した。
 後半、先に点を取る流れを作りたい両チームとも選手交代で試合を動かし、21分には長沼洋一からボールを受けた19歳の楢原慶輝が右足でゴール右上を狙うシュートを放つ。コントロールされた楢原のシュートは自身初のJ1ゴールとなって鳥栖が同点に追い付いた。昨年以来、このカードは3試合連続でのドローとなっているだけにともに運動量を落とさない好ゲームに。35分には鹿島はPKを獲得。これを復帰した知念慶がゴール右隅に流して勝ち越し、そのまま勝利した。鹿島は勝ち点を39とし、勝ち点40点代で前を行く4位の浦和(41)の背中は捉えてJリーグ残り10試合に向かう。

                  「鳥栖への敬意を払いたかった」

前半、鹿島に流れをもらたらす先制点を決めた樋口は、見事なゴールを決めた後も喜びのポーズを何もとらず、セレブレーションを促そうとるするチームメートを両手で制した。鳥栖で育った樋口にとって、ゴールは鹿島の得点であり、鳥栖への恩返しでもある。試合後の取材に対して、「鳥栖が自分を育ててくれたクラブ。敬意を払いたかった」と話した。
 この日は、日本代表の森保一監督も視察に訪れ、樋口のプレーを「FK、前に進むプレー、と自分の良さを出している選手だと思う。日本代表の競争は激しいのでそこに入ってきてくれれば」と、期待を示した。26歳の樋口も「代表を目指し、ゴールに向かう前向きなプレーを続けていけばそういうところに近づけると思っている」と、意欲的だった。

[ 前のページ ] [ 次のページ ]

このページの先頭へ

スポーツを読み、語り、楽しむサイト THE STADIUM

増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

最新記事

カテゴリー

スペシャルインタビュー「ロンドンで咲く-なでしこたちの挑戦」