「いやぁマジで驚いている」熊谷主将 「正直、すげぇなぁって・・・」FW田中 ボ―ル支配率30%のスペイン戦、攻守で選手も驚く完勝
試合を終え、スパイクを履いたまま取材エリアに出てきた選手の誰もが、まるで90分の夢でも見ていたかのように不思議な表情を浮かべて話をした。昨年の男子W杯カタール大会と3戦目で迎えたスペイン戦は、高いポゼッションに「持たれる」時間を覚悟し、3バックで粘り強い守備が必要だった。ボールをほとんど持たれる時間に粘り、「持たせている」状態まで辛抱し、そこからカウンターで数少ない攻撃のチャンスを絶対にものにする。描いた「青写真」が、本当にその通りか、それ以上の出来栄えになった試合に選手からも率直なコメントが続いた。
W杯3戦フル出場の熊谷は、「こんなにうまくいくもんか、というくらいうまく行きましたねぇ・・・ちょっと出来過ぎ。マジで驚いている」と、ホッとした様子と記者にも問いかけるように話す。そして「前半で3点取ってくれちゃったのが大きい」と、「くれちゃった」と、数少ないチャンスを本当に全てものにしてスペインのシュート数を下回るなかで奪った3点を表現して取材陣の笑いを誘った。
昨年の11月の欧州遠征では4バックを中心に3バックを試行錯誤し始めた時期で、イングランド、スペインに敗れている。しかしそれから8カ月後、模索していた3バックでこの試合70%のポゼッション(保持率)をパスサッカーを完璧に封じた。試合前、南が「あの時とは3バックの完成度が違う。これで3試合連続で完封できれば大きな自信を持って決勝トーナメントに進める」と話した通り、今大会初出場の高橋はな、を含めて、粘りと高い集中力の守りを昇華させた。
大会で初めて先発した植木、ザンビア戦で2得点を決めた宮澤も、高い技術と集中力で前半3点を決めて見せた。宮澤は「(自分が)こんなに点を取れるとは大会前は予想もしていませんでした」と試合後恥かしそうに言いながら、「4点ともDFがしっかり取って、中盤が運んでくれたボール。それを大事にしたい一心で決めたみんなのゴールです」と言った。30日に24歳の誕生日を迎えた植木はシュートのシーンについて、「得意な形だった。DFにあたりましたが、思い切り足を振り抜いたのが良かった。24歳をこの舞台でスタートできて本当に感激している」と、1年の好スタートを喜ぶ。
攻撃陣の高い集中力と気持ちのこもったシュートを見て後半ピッチに立った田中は「(前線2人の3得点を)正直、すげえなぁと。楽しそうでいいな、自分も続こう」と、数少ないチャンスを決める攻撃陣にベンチで感心した、と笑った。
疲労のたまるなか1試合目のザンビア、2試合目のコスタリカ戦、日本よりもランキングが上位のスペインに完勝した意味は大きい。「でも、ここまでは関係なく、決勝Tに入ってからが勝負だぞ、とチームに言っている。ここが(W杯)サッカーをやっている人の目指す場所にならなきゃいけない」と、女子では大野忍に並ぶ歴代3位タイ、139試合目の節目に力を込めた。


