Jリーグ30周年のキックオフカンファレンス開催 30年も、60クラブも、歴史も何もない’イベント’への違和感
14日=都内 Jリーグ開幕を17日(川崎対横浜FM)に控え、監督、選手らJ1各クラブが一堂に会する「キックオフカンファレンス」が行われた。Jリーグ30周年という大きな節目のシーズン開幕を前に、J1全18クラブからの選手が登壇して行われた第1部「トークセッション」では、司会、ゲストに人気のタレントたちが登場。イニエスタ(神戸)に対して「財産はいくらですか?」「一番好きな食べ物は?」、女性タレントはほぼ全ての選手に「結婚していますか?」と質問を重ねた。そして、18人それぞれのアピールポイントを聞いたうえで、「私の運命の人は・・・」と、イニエスタをあげて「おめでとうございます、I LOVE YOU」と、バレンタインチョコレートで作ったシャーレを贈った。
ちなみに報道陣に対しては「(キックオフカンファレンスについて)本取材は‘スポーツ報道’を目的として(取材申請を)お受けするものです」と事前に注意事項が記してあった
タレント各氏は依頼の「仕事」をまっとうし、番組を持ち、ゲストを務めるほどサッカーを知るのだから敬意も感じているだろう。静まっていく会場でテンションを維持し台本をやり切るのも苦心したはずで、タレント各氏に悪感情など全くない。
まだプロがどんなものに成長するかも分からなかった90年代、サポーターと選手、クラブ、自治体、多くの支援企業が夢に向かって積み上げ、わずか30年でJ1~J3、予想もできなかった60クラブになった。日本代表はJリーグが始まり、悲願のW杯出場を叶え、7大会連続出場を果たした昨年のカタール大会では、ドイツ、スペインに勝って存在感を見せた。その記念すべきオープニングとなるキックオフカンファレンスで、ただの1度も「30年」にも、歴史にも触れず、緊張感が欠如したイベントを実施したJリーグのセンスに驚く。
J1登録最年長、43歳の小野伸二(札幌)が登壇した開幕カードの広島との記者会見では、「J1登録選手最年長、どんな思いか?」 と質問した。
「気が付けば(今年9月で)44歳の年・・やっと背番号に(44)追い付いたけれど、カズさんが現役でいるのだから自分が最年長とは思わない」と、ユーモアと心からの敬意を示して答えた。舞台裏で会うと「(自分に質問したのは)気を使ってくれたんでしょう?僕なんかに質問してもらって申し訳ない・・・」と、いつもの気遣いや、変わらぬ笑顔を見ながら雑談した。
小野と同じに、コロナ禍でなかなか会えなかった多くのチーム関係者に久しぶりに会えたのは本当にうれしかった。 でも、皆さんが最初に言ったのは、「お元気ですか?」や「たまには取材に来て下さい」でもなく、「Jリーグ、これでいいんでしょうか?・・・」だった。いいわけがない。