スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2022年8月10日 (水)

鹿島アントラーズ・吉岡強化担当「(バイラ―監督の契約解除は)マネジメント方法と選手評価の違いをすり合わせできなくなった」会見で説明

9日=オンライン 鹿島アントラーズは、先に発表したレネ・バイラー監督の就任半年での解任を受け、監督に就任した岩政大樹監督(40)の会見をオンラインで行った。岩政監督は、5試合勝ちなしで4位に後退した現在のチーム状況について「サッカー的には、順位以上に色々なものが壊れている状態。帰る場所を認識させないと、迷子の中でサッカーをしてしまう。その整理をするのが一番重要」と、危機感を露わにした。
 岩政監督は、バイラー監督が新型コロナウイルスの防疫対策のために来日が遅れたため、開幕から5試合、代行として指揮を取っており、新戦力の獲得よりも現有戦力とスタッフで戦っていく方針だという。
 また、強化担当である吉岡宗重フットボール・ディレクター(FD)もオンライン取材に応じ、バイラー監督の解任の大きな理由について「マネジメント方法と選手評価の違い。一番大きかったのは選手評価の違い。 私たちが考えているいい選手の評価と、レネ監督の基準には相違があったのも事実。互いのすり合わせが難しくなっていた」と、細かな点では試合翌日の練習方法から、選手評価の食い違いまでコミュニケーションにおけるすれ違いを契約解除の理由にあげた。
 鹿島ではこれまで、監督の意向とは別に、フロントがこうしたい、と行った意志表示を監督にして調整をはかってきていた。バイラー監督はこうしたフロントサイドの手法には全て受け入れるやり方ではなかったようだ。
 93年のJリーグ開幕以降、「オリジナル10」として一度も下部リーグを経験してない名門も、ピッチ以外の再点検と新たな方針を構築する歴史に直面している。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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