スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2022年4月 5日 (火)

Jリーグ第8節山形対岡山 審判の競技規則適用のミスで、Jリーグ史上初の再試合決定 日時、個人記録の扱いは今後検討

5日=オンライン JリーグはJ2リーグ第8節モンテディオ山形対ファジアーノ岡山(3日、NDソフトスタジアム山形)のゲーム中、「勝敗の決定に影響を及ぼす、担当審判員による明らかな競技規則の適用ミス」があったとして、再試合の実施を決定、オンライン会見で発表した。再試合の具体的な日時、及び、個人記録の見直しについては26日の理事会で決定する予定。 Jリーグによると、「競技規則の適用ミス」による再試合は史上初と、稀なケースとなった。
 同試合の前半9分、山形のDF半田がバックパス、これがゴールマウスに向ったため、GK後藤雅明が飛びついて手でこれを止めた。バックパスは手で扱えない規則で、清水修平主審は、これを「ハンドによって岡山の得点機を妨害した」とし、GK後藤にレッドカードを出し退場処分に。岡山に間接FKを与えた。
 しかし、競技規則では「ゴールキーパーが自分のペナルティエリア内で認められていないにもかかわらず手や腕でボールを扱った場合、間接フリーキックが与えられるが、懲戒の罰則は与えられない」と、明記されている。間接FKは適用できた一方、後藤へのレッドカードは誤った競技規則の適用となる。試合は、90分中81分を10人で戦った山形が、試合終了間際に岡山にゴールを奪われて敗戦。Jリーグは「競技規則の適用ミスによって、山形は約80分間、1人少ない状態で試合を行うことになり、試合の結果に重大な影響を及ぼした。これにより再試合を決定した」と説明した。

 国内では、「競技規則の適用ミス」によって審判の判定が覆った例として、2018年6月6日に行われた天皇杯2回戦、名古屋対奈良クラブの一戦がある。延長戦後も1-1の同点でPK戦が行われ、奈良クラブ4人目選手のPKについて、清水修平主審は「フェイント動作を入れた」と判断しPKのやり直しを指示(もう1回蹴って成功)。しかし、「フェイントを入れた反則行為はPK失敗と扱う」と、競技規則上定められており、この時点で名古屋の勝利が決まっていたため、JFA等で協議の結果、「競技規則の適用ミス」を理由に、PK戦のみやり直しが決まった。
 清水氏を含む審判団に対する研修も実施される。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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