スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年12月25日 (土)

鹿島アントラーズ クラウドファンディングでのアカデミー専用グランド完成「未来のアントラーズの選手を輩出する聖地にしたい」柳沢敦監督

25日=鹿嶋市 Jリーグ鹿島は、鹿嶋市内に新しく建設されたアカデミー専用グラウンド「鹿島アントラーズ アカデミーフィールド」の竣工式を行った。同グラウンドはアカデミーの環境の充実を目指し、現在のクラブハウスの近くに専用のグラウンドの新設を計画。ユースの柳沢敦監督、小笠原満男テクニカルアドバイザー、中田浩二CROらクラブの歴史を彩ってきたレジェンドOBが中心となってクラウドファインディングで資金を募った。プロジェクトが披露された9月以降、この日までに寄付者は合計2793人、支援金は企業法人他を含む合計約2億4000万円に到達し、目標の人工芝1面のピッチが完成した。創設30年の今年、ピッチでは無冠に終わったが、スポーツで過去最高額とされるCFでタイトル20冠の底力を示した形だ。
 ユースは天然芝のグラウンドを使用してきたが、養生期間の度に市内のグラウンドを借りるなど不便さもあった。これで通年使用のピッチが常に確保でき、柳沢監督は「CFで集まった金額、寄付下さった方々の数にも驚いている。その期待に応えられるように、未来のアントラーズの選手を多く輩出できる聖地にした」と、抱負を話した。
 小泉文明社長も「この地から多くの有望な選手が出ることを期待しています」とし、今後はサッカーの強化だけでなく、地域の子供たちの交流の場としても活用していく。
 アカデミーが未来のアントラーズに踏み出したこの日、一方で、強化責任者でフットボールダイレクターの鈴木満(すずき・みつる)氏が今季限りで退任すると発表された。ジーコが住金鹿島に入り、そこから鹿島アントラーズをJリーグをリードする常勝クラブに成長させたGMで「まんさん」と慕われ、継続的なクラブ強化の在り方をJリーグ、日本サッカー界にも示した存在でもあった。
 ここ3年は無冠。「ここ5年間の国内タイトル無冠、創設30周年となる今シーズンも不本意な成績で終わり、強化のトップとして果たせなかった責任は大きいと痛感しています。アントラーズが今後も勝利を積み重ねていくためには、築き上げた哲学の継承とともに、チームの改革が必要な時期にきていると思います。タイトル奪取に向けて一丸となって戦い続けていくクラブの応援とサポートを、これからもよろしくお願いします」と退く決断をした。今後は強化アドバイザーとなる。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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