スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年11月 3日 (水)

松本は町田に2-3で敗れて5連敗、最下位で残留争い残り5試合へ「粘り気のある守備をしたかったが・・・下を向くな前を見よう」名波監督

3日=町田GIONスタジアム シーズン残り5試合となり、J1昇格争いにもまだ可能性を残す町田と、熾烈な残留争いで勝ち点を何とかもぎ取りたい松本が、町田のホームで対戦した。序盤に失点をして主導権を町田に渡してしまった松本は、後半も立ち上がりに失点するなど0-2から1点返すも、また突き放され、終始後手に回って2-3で敗れた。松本は、残留争いが熾烈になる終盤に今季ワーストとなる5連敗。今季7勝10分20敗と勝ち点は31のまま、得失点も-33点、最下位22位から残り5試合での残留に挑む。群馬戦、町田戦とアウェーが続き、7日はホームに新潟を迎える。名波浩監督は試合後、後半9分と立ち上がりに町田に決められたゴールを「2失点目のように自分たちのミスから相手の体重がグッと前になる(ミスから一気にチャンスに持って行かれる)ことが多々あった。もう少し粘り気のある守備をしたかったと思う」と悔やんだ。試合後、名波監督は選手に真っ先に「サポーターに下を向かずに挨拶しよう!」と大きな声をかけた。
 敗因について「町田のほうが、完成度が高かった。走るとか、やり切る、とか、球際とか、そこには圧倒的な差があった。(ロッカーで)とにかく下を向くな、と。きょういい戦いができたかといえばそれはクエスチョン(疑問もある)だが、これを引きずってホームの新潟戦で点を取られて目を覚ます、そんなことがないように(松本に)帰るまで、帰ってから、身体のコンディションをあげてケアをしていこう、と(選手に)」話をした」と、自身もオンライン会見で下を向かなかった。
 松本は今季20敗を喫しているが、名波監督が就任して以降、6月26日の琉球戦(0-4)から山形、水戸、愛媛、大宮、磐田、アウェーの東京V、栃木、岡山、と10月17日まで全て完封負けと無抵抗の敗戦に
甘んじ慣れ切っていたのではないか。しかしこの日は、負け試合でも町田から2点を奪った。歯を食いしばって、何かを掴もうと抵抗する。そういう気持ちが示した些細な変化は、前を向く理由に見える。もちろん、松本から駆け付けたサポーターも下を向いていなかった。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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