世界体操2位の橋本大輝 「悔しさは1ミリ。本当に彼(張)がリアルチャンピオンだと思う」調整力と集中力を自身の課題に
中国の同世代のライバル、張博恒(21)にわずか0・017点及ばなかった銀メダルに終わった橋本だったが、試合後は冷静に「悔しい気持ちは多少あるんですけど、悔しさは1ミリぐらい。本当に彼(張)がリアルチャンピオンだなと思う。着地というか、動きの精度も高かった」と、会見場の中央に座った優勝者を真っ先に称えた。
今大会は、コロナ渦による東京オリンピックの延期、開催予定都市が世界体操を返上するなど様々なアクシデントが重なって、五輪と世界選手権が同じ年に行われる異例のスケジュールに。史上最年少、20歳の五輪金メダリストは、栄光を噛みしめる時間もないほどの祝賀行事や取材対応に追われ、タイトなスケジュールのなかでインカレにも出場。言い訳など一切しないが、体操選手として初めての経験に戸惑いの日々を過ごしたはずだ。「コンディションがなかなか上がってこないのは正直しんどい面もある」と、大会前の取材には率直に心境を吐露した場面もあった。
対する張は、東京五輪への国内選考会で上位に入る高得点をあげたものの、21歳の若さと、国際大会の経験が少ない点から五輪代表から落選。次世代を担う若手として、悔しさをこの世界選手権にぶつけるため照準を絞った調整をして臨んでいた。0.017点の違いは、演技点だけではなく、この2カ月、2人の置かれた立場の違いが生んだ差でもある。
スタートの床運動では力強い演技で2位発進。しかし次のあん馬では、ライバルの張が落下したのに続き、「緊張もしていたし集中できず、(回転の場面で)急いでしまった」と心理的な揺れもあって落下。それでも苦手とされる次のつり輪では、予選よりも0・633点と大幅に得点を稼いでしっかりと立て直す。最終種目の鉄棒の前、5種目(平行棒)が終了したところで、張に0.350点差の暫定2位で、東京五輪の3位からの逆転劇の再現かと思われた。
張はミスのない完璧な鉄棒で14・800点をマーク。橋本も演技をまとめて15・133点をあげたが、わずかに0・017点届かず。それでも、あん馬の落下から立て直し、つり輪から4種目の演技には「力を出し切れた」と、満足感を漂わせた。
「自分の調整力のなさで、色々な人に迷惑をかけてしまった。集中力も必要だと感じた」と、反省と課題をそうあげる。五輪の疲労も抜けないまま、インカレ、そして世界選手権と厳しい勝負が続き、練習でも「体が動かない」と感じる日も。「動けない時にどう動いたらいいのか・・練習で通せなかったのは調整力がなかったからだと思う。(内村)航平さんの凄さを改めて感じた」と、五輪と世界選手権を合わせ8連覇の偉業を果たした内村の凄さの真の理由を実感し、同時に自分が個人総合王者として目指すべき方向性を決心したようだった。
23日からの種目別でも、ゆか、あん馬、鉄棒、平行棒4種目で決勝に進出している。「残り4種目、こんなに出られるのは嬉しい。メダルよりもベストの演技をしたい」と笑顔を見せ、銀メダルをケースに丁寧に収めてから、会見場を後にした。


