スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年10月30日 (土)

Jリーグ ルヴァンカップ 名古屋がC大阪を2-0で下して悲願の初優勝 MVPは2点目を決めた稲垣に

30日=埼玉スタジアム(ワクチン・検査パッケージ導入による実証実験試合で8756人が追加で観戦、計1万7933人入場) Jリーグ「ルヴァン杯」決勝が行われ、1993年のJリーグ発足時の「オリジナル10」ながら、今タイトルを取れなかった名古屋グランパスが2-0でC大阪を下して初タイトルを獲得した。2017年以来2回目の優勝を狙ったC大阪は、27日に行われた「前哨戦」ともいえる天皇杯準々決勝で名古屋に完勝していたが(3-0)、中2日でタイトルを逃がした。試合は序盤から、C大阪は天皇杯から8人、名古屋も4人を変更するなどフレッシュなメンバーで臨み、ともに前線から厳しいチェックで主導権の奪い合いに。序盤から相馬勇紀、マテウスと縦への推進力をかけた名古屋が少しづつペースを握ってプラン通りの無失点でしのぎ、C大阪は乾の突破、奥埜からの前線へのボールで展開するなか前半はスコアレスで後半へ。
 C大阪は、立ち上がりに主導権を握ろうと清武を投入。しかし2分、CKを獲得した名古屋が相馬からのクロスが試合を大きく動かした。ニアに位置していた柿谷が頭でコースを少し変えたところに、前田がファーからゴール前に入ってしゃがみ込むような姿勢でヘディング。これが決まって名古屋が先制。先制したゲームでは圧倒的な強さを見せており、選手の動きに勢いが生まれた。
 マッシモ フィッカデンティ監督は13分、先制点を奪った前田、相馬をそれぞれ斉藤、長澤に交代。28分にも柿谷とシュヴィルツォクを代えて、運動量を落とさないようシステムを巧みに微調整する。運動量を落とさなかった名古屋にまたチャンスが。34分、斉藤のドリブルとともに左サイドを突破したシュヴィルツォクが強烈なシュートを放つと、C大阪のGKキムジンヒョンが左足で好セーブされる。このこぼれ球に合わせた稲垣が、ワンバウンドで落ち着いてシュート。絶好の時間帯に勝利を手繰り寄せる追加点を奪って2-0とした。
 名古屋はJリーグ発足以来、ナビスコ杯から通じて今タイトルは初めて獲得し歴史を塗り替えた。MVPは、2点目を決めた稲垣で副賞として賞金100万円も授与された。名古屋の優勝賞金は1億5000万円、C大阪は5000万円、3位の浦和とFC東京は2000万円を受けたニューヒーロー賞は(すでに発表)浦和のGK・鈴木彩艶が受賞。大会最多得点は浦和のFWキャスパー・ユンカー、FC東京のMFアダイウトン、横浜F・マリノスのFW仲川輝人3人が4得点で並んで全日程を終了した。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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