「五輪のコロナ対策は機能していた。この経験は非常に重要」NPB、Jリーグのコロナ対策会議が再開 デルタ株、ワクチンと新たなステージ検討
23日=NPB(日本野球機構)とJリーグ、専門家で開催する「新型コロナウイルス対策連絡会議」第37回目がオンラインで行われ、デルタ株への予防対策についての課題、東京オリンピックでのバブル方式の有効性などが議論された。Jリーグでは8月に入り鹿島アントラーズ、横浜FC、柏レイソルなどで選手の感染報告がされた。ワクチン接種も並行しているが、両方の関係について、村井満チェアマン「(ワクチンと感染の)具体的なデータはまだない。今後見ていく数値」と明かした。専門家の三鴨広繁・愛知医科大教授は「ワクチン接種後の感染では、症状が軽く終わることもある。無症状もある。鼻水でも(コロナを)疑って検査することが必要」と、接種しても観戦対策を怠るなど油断は禁物であるとした。また、東京五輪について、毎日の検査とバブル方式が「かなりの成果を上げた」(三鴨氏)と実証された点を明言。メディアではバブルが破綻しているなど取り上げられるなどしたが、三鴨氏は「五輪での経験は非常に重要。バブルを取ったなかで検査体制を徹底するのは、すでにプロ野球、Jリーグでも行ってきたが、検査の頻度をまずは増やして頂きたい。今すぐにでもできること」と、現在は2週に一回のスクリーニング検査(PCR)について頻度の向上を課題にした。合わせて濃厚接触者の特定も、発症後、2日前ではなく、3日前にすることでさらにリスクが減らせる効果などが話し合われた。
21日には、英国政府が経済活動を止めないための旗印として、スポーツ観戦を重要視し、今夏、37の競技で行った大体的な「実証実験」の結果が発表されている。観戦者は、ワクチン接種か、陰性証明を提出してスタジアム内に入った。これによると、サッカーの欧州選手権で、ロンドンで行われた8試合で確認された感染者は6376人、テニスのウインブルドンは582人が感染している。同じ場所で長期間行われたウインブルドンの感染者率が低い理由を、英国政府の感染検証チームでは「観戦方法に大きな違いがある」と分析。マスクを着用し大声を出さないテニスと、抱き合って密着し合うサッカーでは大きく異なったようだ。
そうであれば、サッカーであっても、大きな拍手やバーチャルでの声援をすでに1年前から観戦者の協力でほぼ定着させたNPB、Jリーグの方法は、むしろ先端にあるのではないか。
今後は、政府見解を超えて、改めてスポーツでの自立、独立した「基準値」を検討する必要があるのではないか。斉藤コミッショナーは「止める、やらない、といった考え方からは何も生まれないのではないか」と話した。ここまで、日本と世界的なスポーツシーンをリードしてきた両プロと、専門家にとっても、新しいステージに入っていく時期かもしれない。