スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年7月 4日 (日)

名波浩監督体制で初のホーム戦 松本が好調の東京Vを下して9試合ぶりに勝利 監督も磐田時代からの連敗を「3」でストップ

3日=松本・サンプロ アルウィン(観客6850人)気温26・6度、湿度63% J2第21節が行われ、松本は、名波浩監督就任後、初のホーム戦に、6連勝を狙う好調の東京Vを迎え、9試合ぶりの勝利を目指した。前節、名波監督が初めて指揮を執ったアウェーの琉球戦は0-4と完敗。メンバー4人を替えると同時に、チーム内でいつの間にか忘れかけていた、球際での体を張ったプレーや、ミスの後、懸命に追いかける泥臭さを選手たちに確認させ、粘り強い守備を主体にゲームを運んだ。前半17分、松本、最初のCKを佐藤和弘が蹴ると、一度はね返されたこぼれ球を外山凌が右足でクロスに。これが東京Vの若狭大志に当たってオウンゴールで先制した。
 松本は高い位置からの守備を組織的、効果的に続け、またDFラインも臨機応変にボールを逃さずチャンスを作るなど、先制したまま1-0で折り返した。
 後半は開始早々から東京Vが1点を狙ってゲームの主導権を奪う。名波監督は、15分を1セットとして試合を6セットでプラン。リードと疲労でもっともリスクが高くなると監督が予想した4セット目の12分、東京Vの端戸仁にゴールを奪われ同点とされた。ゴールに転がるボールを誰も反撃に取りに行かず、ヴェルディの選手にボールを渡されるシーンも。
 しかし、監督が変えようとする一体感とホームの声援を受け、直後の16分、自陣からの長いFKに星キョ―ワァンが競り勝ち、これを受けた阪野豊史がワンタッチから左足でシュート。勝ち越した。その後も東京Vに攻め込まれるが、選手は最後まで身体を投げ出してシュートをブロックするなどハードな守備を続け、8試合勝ちなしの連敗から脱出した。名波監督自身、19年6月、C大阪、川崎に連敗して辞任を決断しただけに、この日の勝利で「監督4連敗」と止めた結果に。ゴールした阪野が監督のもとに真っ先に走り、そこに選手の輪ができた。監督も「もう半分しかない」という、リーグ戦の折り返し地点。クラブにも選手にも、監督にも、サポーターにも、大きな1勝となった。「選手にやるべきこと、やって欲しいことはまだたくさん
ある。内容にも細かいところでは満足していないが、自信を取り戻すための1勝になれば」と、手応えを口にした。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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