スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年3月13日 (土)

東京五輪・パラリンピック橋本会長 アスリートファーストからアスリートセンター(選手中心の考え)を提言 25日聖火出発式に出席へ

12日=都内 東京五輪・パラリンピック組織委員会・橋本聖子会長が、就任以来「定例会見で、都民、国民の皆さんに少しでも情報をお伝えしたい」と始めた2度目の定例会見を行った。12日にはNF(国内の競技団体、これに対し国際連盟はIF)の協議会に出席し、会長は会見冒頭、従来の「アスリートファースト」とは違った「アスリートセンター」という新しい方針を打ち出した。
 「私自身がオリンピアン、アスリートのみなさんにNFから伝えて欲しいとお願いした。1年延期となった中で、さまざまな思いで東京大会を目指している選手に自信を持って頂きたい。全てのステークホルダーと手を取り合って、私は1つの大きな輪を作りたいと思っている。その輪の中に、アスリートファーストはもちろんだが、アスリートが常に全ての中の中心にいて、そしてしっかりと守ってあげるアスリートセンター(という取り組み)が大事と思っている」と話した。
 また、11日のIOC(国際オリンピック委員会)総会で突如、中国から出された東京大会への中国製ワクチン提供の申し出について、国や組織委にはIOCからも中国からも事前の報告がなかった点について、会長は「国内では承認にもとづいて接種が行われる。(これとは異なりIOCは)中国側の申し出に対して、IOCにおいて取り組まれて行くと理解している。(東京へ提供するというより)北京の冬季五輪まで1年を切った状況で、準備をしている中国として非常に重要と捉え、IOCと話を進めたのではないかと私自身は受け取った」と、中国のアピールや日本を出し抜く意図ではないとの考えを示した。
 バッハ会長は昨年11月日本に来日した際、「多くの方々がワクチン接種をして日本に来られることは、日本国民に安心、安全を提供できる」とコメント。あくまでも日本のためというスタンスをフォローしたが、世界でもワクチン接種が遅れている日本、その中で開催する五輪への意図あるサポートとも取れる中国のワクチン提供は、日中だけではなく、国際関係、政治とスポーツのバランスにも今後影響を及ぼしそうだ。
 また、会長は25日、福島をスタートする聖火グランドスタートに出席する意向を明かした。2週間を切った聖火スタートに向け、来週(14日~)が3者(東京都、組織委員会、政府)、5者協議(プラス、IOC、IPC=国際オリンピック委員会)の決定が行われる最大の山場となる。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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