スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年10月31日 (土)

川崎F 中村憲剛40歳バースデーゴールが決勝点に 「(誕生日ゴールの感想の)言語化が難しい。等々力には神様がいる」コロナ禍で75%を消化しリーグ戦も成立

31日=等々力陸上競技場(観衆11061人、18時03分KO) Jリーグ25節が行われ、「多摩川クラシコ」は、川崎Fが、この日40歳の誕生日を迎えた中村憲剛がバースデーゴールで2-1とし、J1新記録の11連勝をさらに更新する12連勝とした。敗れたFC東京はリーグ戦優勝の可能性が消えた。
 前半24分、レアンドロ・ダミアンが、FC東京・渡辺剛に倒されてPKを獲得。これを家長昭博が決めて川崎Fが1-0と先制した。3試合連続無失点と堅守を誇る川崎Fはそのまま前半を折り返した。後半12分には、エリア内左でパスを受けたFC東京・ディエゴ・オリヴェイラが縦へ仕掛け、角度のない位置からGKのニアを抜く強烈なシュートで同点にされた。しかし、ここから落ち着いてボールを保持しチャンスを待った。29分、三笘薫が左サイドからドリブルで突破し、マイナスのボールを折り返す。これに中村憲剛が合わせ、40歳の誕生日を迎えたMFが、決勝ゴールを決めた。中村は試合後のインタビューで、「バースデーゴールをまさか取れるなんて思っていなかった。ちょっと出来すぎ。等々力には神様がいるのかな」と、自らも驚いた様子で勝利を喜んだ。鬼木達監督は中村について「前節もしっかり結果を出し、トレーニングでも結果を出し、その積み重ね、日々の努力がこういうビッグマッチで自らに華を添えられる理由なんだと思う。素晴らしいプレーだった」と、大台に入ったベテランを絶賛した。更新した12連勝について家永が「後で振り返って誇りと思うし、その雰囲気のなかでプレーできるのは幸せ」と更新に意欲をのぞかせた。
 J1は2月21日の開幕直後、新型コロナウイルスの感染拡大によって中断。3月に、J1~J3の各リーグ戦の今季成立条件を、全試合数の75%以上、かつ各クラブの50%以上とした。J1各クラブ50%以上についてはすでに満たし、10月28日までに全306試合中226試合を消化。31日の柏-清水戦で75%の230試合目を消化できた。鬼木監督は、「ファン、サポーターも含めた皆さんの力。今年に関しては、サッカーをできる喜びが一番。このまま(シーズン終了まで)行ければいいと思う」と、安堵していた。
 中村憲剛は試合後、Zoom会見で
キャリアで初めて誕生日に試合が来て、試合前、悠(小林)から’点とっちゃいますね、絶対取れますよ’と言われたが、それはお前のメンタリティーで、オレはそうじゃないから、と返した。でも試合に入るにつれてやっぱり自分も取りたいな、と思った。完全に途中から狙っていましたから、悠のあれがなかったら取れなかったんで、小林さんサマサマです。特別な日にゴールを決められるなんて。点を取った時には何だか分からなかった。お客さんが足を運んでくれないとスタジアムの素晴らしい雰囲気は生まれないので感謝しかない。(記者から40歳超えてのゴールは過去5人と教えられ)えー、みんなレジェンドじゃないですか。一人神様もいますね(ジーコ)。回りに感謝しかないですね。歴史に名前を刻めるのは、ごく一部の人なんで、純粋にうれしいです」と、新たなステージに踏み出した日を喜んだ。

 

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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