スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年8月15日 (土)

FC東京、室屋のラストマッチを5試合ぶりの勝利で飾り名古屋を破る 室屋粘りのボール奪取からゴール、そのまま空港からドイツへ!

15日=味の素スタジアム(4435人) 4試合勝ちなしのFC東京は、直近の3公式戦で11ゴールを奪って勢いのある名古屋をホームに迎えた。前半33分に、この試合を最後にドイツ2部の「ハノーファー」への完全移籍のためクラブを去る室屋成(むろや・せい、26)が名古屋の中央付近までプレスをかけてボールを奪取。これがチャンスにつながり、安倍柊斗とレアンドロのワンツー、これを高萩洋次郎へ。高萩の縦パスを受けた永井謙佑がレアンドロにパス。最後はレアンドロが右足でポスト脇を狙った精度の高いシュートで先制した。後半、名古屋は早い交代で東京からリズムを奪おうとするが、成瀬竣平が37分に退場。FC東京は最後まで体を張り、20時過ぎても気温が30・4度、湿度が54%と厳しい条件下での試合を制して5試合ぶりの勝利を掴んだ。これで勝ち点は18、4位に付けている。FC東京は今後、ACLの出場があるため、26節を26日に行い、2週連続で5連戦に臨む超ハードスケジュールとなる。室屋は試合後、ピッチ中央でセレモニーを行い、最後までスタンドに残っているサポーターに「(FC東京は)偉大なチームであり続ける。台頭する若い選手たちが、いつか必ずタイトルをもたらしてくれると信じている。ここまで成長させてくれた長谷川監督、社長に感謝したい」とスピーチした。移籍が決定する前には、幼なじみの南野拓実(リバプール)と話し「(互いの距離が)近くなった」と喜んでいたという。室屋はそのまま羽田空港へ向かい、深夜便でドイツへ出発した。

長谷川監督は試合後「非常に蒸し暑い中での試合だった。先制点が取れて非常に良かった。後半も自分たちのリズムで試合を進められた。チームとして守備には手ごたえをつかむことができた。そこからゴールを奪えた展開は素晴らしかった。(室屋について)日本代表に名を連ねる選手で、今年はクロスの精度がさらにあがり、クラブにとってはもちろん痛手になる。室屋の抜けた穴はみんなで埋めていかなくてはならない」と送った。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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