スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年7月12日 (日)

Jリーグ 前節大敗したFC東京がアウェーで昨季王者マリノスに1-3で完勝 攻守で’ベテラン’コンビが踏ん張る

12日=日産スタジアム(曇り時々雨、23・9度、湿度64%) Jリーグ4節が各地で行われ、昨年の覇者、横浜Mは、前節で川崎に0-4と完敗したFC東京をホームに迎え、再開以降初めての有観客試合に臨んだ(4769人)。マリノスによれば、チケットは前日までに完売、入場ゲートでサーモグラフィで体温をチェックし、消毒などを徹底、席も半径1メートルのソーシャルディスタンスを取って4か月ぶりの有観客試合に備えた。試合は前半4分、右サイドから水沼宏太がゴール前へのクロスでチャンスを作ると、このボールをオナイウがDFを背負ってスルー、遠藤渓太がスピードに乗ってゴール前に走り込んで右足のアウトサイドでシュート。Jリーグ通算100試合目のゴールで、マリノスが先制した。
一方、前節前半だけで0-4と大敗した東京は、ここで切り替え反撃。田川亨介がペナルティエリア内でマリノス・マルチンスのスライディングを受けて負傷退場するが、PKをオリヴェイラが決めて17分に同点とした。前半アディショナルタイム、FC東京はFKを得ると、これをレアンドロが壁の外側を巻いてファーポストへ。効果的なパンチでハーフタイムに入った。後半立ち上がり1分、GK・林彰洋のキックは、昨年12月の肩の手術から復調したFW・永井謙佑のところへ落下し、カウンターの起点に。マリノスDF畠中慎之輔を背中に反転すると、ペナルティエリア右へのクロスを出す。逆サイドからレアンドロが右足のハーフボレーを決めて一気に1-3と突き放した。FC東京は、前節のふがいない試合から短期間で切り替え、前半最後、後半立ち上がりと、効果的なワンツーでマリノスを封じた。久しぶりの先発で永井は前線で体を張って攻撃のリズムを作り、雨で気温が下がり、足がつる選手もいた後半は、DF森重真人を中心に踏ん張り、31歳と33歳の中堅が、難しい試合のポイントを掌握したゲームとなった。FC東京は勝ち点を9とし4位に浮上。マリノスは1勝1分2敗で勝ち点4、13位となっている。

 FC東京・長谷川健太監督 厳しい試合になると思っていた。前節と違ったのは、失点後にも切り替えてアグレッシブに行けたところだった。永井が戻ってきたのは心強い存在だった。終盤はじめから飛ばして、足がつるなかで、森重が声を出して統率してくれた。

横浜M・ポステコグルー監督 いいゲームだった。カウンター、セットプレーでやられたが、チャンスを多く作り、全体的に見ればいいゲームができた。もっと守備ができたところもあったが、自分たちのサッカーではできている。ここまでの結果(1勝1敗1分け)について、もっと準備をして、今シーズン、自分たちのサッカーをやり続けていきたい。自分たちは選手を守って長いシーズンにベストのコンディションで臨みたい。

遠藤 ちょっとした小さな頑張りに拍手をもらい、それが選手の励みになると本当に思った。結果で返せなくてふがいない。あの時間に失点してポジティブな要素はないし、もとは、その前の自分の選択ミスだったかもしれない。マリノスで100試合を迎え、ゴールを取れたのは素直にうれしい。1点で満足してはいけなかった。もっともっとしっかり逆転させるプレーをしなければならなかった。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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