スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年6月 3日 (水)

女子プロサッカー「WEリーグ」来年9月開幕 「女性活躍社会をリードできる新リーグに」JFA田嶋会長 男子プロにもなかった最低年俸保証採用

3日=都内 日本サッカー協会(JFA)が、2021年秋に開幕する女子プロリーグの名称を「WEリーグ(Women Empowerment League)」に決まったと発表した。「ウィー・リーグ」は21年9月に開幕し、秋・春シーズンを採用。1年目は6~10チームの予定で(当面は昇降格なし)、現なでしこリーグのクラブ、また、新規参入を認める。女性の参画、社会活躍推進に寄与するプロ化を設立趣旨にあげており、Jリーグ発足時にはなかった選手の最低年俸を設けるなど着手しており、昨年、世界経済フォーラムが発表した男女平等をはかるひとつの指標である「ジェンダーギャップ指数」で121位と、低迷し続ける日本に、新しいプロリーグの誕生だけではないインパクトが期待される。
 JFAの田嶋幸三会長によると、新型コロナウイルスによる感染拡大が広がる中でも女子サッカーへの投資として3億円を確保しており、「この大変な時に新しいプロリーグを設立していいのかという声もあったが、私たちは今こそ踏み切るべきだという結論に至りました」と、コロナ禍に新リーグを立ち上げる意義を強調。今月末に、2023年W杯開催地が決定すれば(日本も立候補)、21年はメダルを狙うオリンピック、プロリーグ誕生と機運は盛り上がると考えられる。「なでしこジャパンを強くする、これを第一に女性のジェンダークオリティーをしっかりしていくことが、なでしこジャパンを強くする、自立した選手の育成につながる」と話した。
 11年女子W杯優勝監督の佐々木則夫女子新リーグ設立準備室長は、このドットについて「名称には女子プロサッカー選手という職業が確立され、リーグに関わる全員(WE)が主人公として活躍する社会を目指すという思いも込められている」と説明した。

参入チームは今年7月末に募集を締め切るが、すでになでしこリーグを合わせても30もの希望が寄せられ、仮申請が進んでいる。今年9月末から10月頭ごろに決定するプランで、Jリーグと同じく、地域密着を最優先にあげるなか、コロナで苦しい時期だからこそ、地域の女子サッカーに希望を託す活性化もベースにあるようだ。

統一契約書はまだ完成していないが、1チームのプロ契約選手は15人以上を想定し、プロ化による選手年俸については男子にはなかった最低年俸を、「大学新卒の数字を基準に設定する」と、女子の今井純子委員長が明かした。

 

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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