スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2019年8月17日 (土)

東京テストイベント パラトライアスロン(W杯)大腸菌増加でスイムが中止に  トライアスロンならぬデュアスロンに「暑さ、コース確認でき有意義だった」谷真海

17日=お台場海浜公園(東京都港区) 20年東京五輪・パラリンピックのテストイベントを兼ねたパラトライアスロンW杯が行われ、前日16日午後1時に実施したスイムコースの水質調査で、大腸菌の値がITU(国際トライアスロン連合)の基準値の2倍に増え、ITUが定める水質基準最低レベルとなる「レベル4」に悪化したため、水泳を急きょ中止とした。大会組織委員会によれば、中止の決定は午前2時45分から行われたリスク検討会で、メディカルスタッフ、気象専門家などを交えて議論をした上で決定。午前3時37分に選手に通告をしたという。「台風で急激に増えた水量にあるのではないか」と、ITU・大塚副会長は一因をあげた。このためトライアスロンではなく、ランーバイクーランの「デュアスロン」に急変更された。本来は、スイム0・75㌔、バイク20㌔、ラン5㌔の順に実施されるが、この日はラン(2・5㌔)、バイク(20㌔)、ラン(5㌔)に。またWBGT(暑さ指数)がこの日はレース終了予定時刻の9時半では30・5に上昇すると予想され、デュアスロンへの変更となった。ITUは、コース中に涼めるスペースの設定や、給水での氷の配置、また飲み終えたカップをどこで捨ててもいいようにするなど、各部署で暑熱の特別措置を敷いた。
 こうした条件のなか、女子座位では16年リオデジャネイロ大会車いすマラソン代表の土田和歌子(八千代工業)が優勝。同立位(PTS4)の谷真海(サントリー)は2位となった。谷は、「約1年前に(五輪と)同じコースを走れて、コースの確認も雰囲気も、水質(16日に試泳しており)も確認して、暑さも確認できて有意義だった。改めて五輪に出場したいと強く思った」と、得意のスイムが中止されるなど急な当日変更を、前向きに準備の一環と捉えていた。谷は今後、9月1日、スイスでの世界選手権、翌週はスペインでのW杯と連戦して、オリンピック出場をかけたポイントを蓄積する。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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