スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2011年7月19日 (火)

「沢 いつか日本でW杯を開催したい」なでしこ トロフィーを持って凱旋会見

 18日のW杯で、25度目の対戦となったアメリカを延長、PK戦のすえに倒して初優勝を果たした「なでしこジャパン」が19日朝帰国し、午後からは都内ホテルでの会見を行った。MVPと得点王を手にした沢穂希をはじめ、21選手全員が首から金メダルを下げての会見で、沢、佐々木監督は早くも9月1日から始まる五輪アジア予選突破、ロンドンでの金メダルを目指す、と力強く宣言した。
   ■沢 ここまで来るのは本当に長い道程でしたが、世界の頂点を目指して、夢を諦めずにがんばってきてよかった。ここにいるスタッフはもちろん、たくさんの方々にサポートされて感謝しています。今後、日本で女子W杯が開ける日がくればいいと思っています。

 (沢への質問)
 -今の気持ちは
ドイツでは優勝した実感がなかった。今までなでしこでこんなにたくさんの報道陣がいたことがありませんでしたので、今、初めて実感しました。
 -メダルは重いですか。
これ自体?(場内爆笑)。ここに来るまでの道程は長かったし、世界の頂点に立つなんて思っていなかった(時代が長かったので)ので、本当に重いです。
 -なぜ、これだけ多くののトロフィーを持ち帰れたのでしょう。
みんなのがんばりだと思います。本当にこの大会を通して、全員が最後まで諦めず、なでしこらしい団結力を発揮できた大会だったと思います。
 -得点王、MVPの要因は
これも、今まで携わってくれたスタッフや選手みんなのおかげで取った得点王でありMVPです。最高です。今回は、宮間選手、山郷選手に助けてもらった。福元ら中間年代のみんなもベテランを盛り立ててくれた。
(隣で佐々木監督が突如マイクに)あ、それと僕の練習量のコントロールがすばらしかった(沢も選手も苦笑い)。それは・・・(笑)本当に。疲れなどもあまりいいにくいところ、監督に話して色々と配慮してもらった。
 ーターニングポイントは?
イングランド戦は、負けてよかったわけではないけれど、攻め急いだり、それを米国戦やアメリカ戦に生かすことができた。選手だけのミーティングやビデオ見たり反省や修正を選手同士で話していた。
 -スカウティングビデオのほかにも被災地の様子も見たというが。
被災地の方々が、少しでも勇気とか元気を持ってくださればいいな、と思っていました。
 -これからの目標は
リーグもそうですし、五輪のアジア予選も始まる。しっかりコンディションを作りたい。

■上田栄治女子委員長(アテネ五輪指揮) 2015年にW杯で優勝するビジョンだったが、4年前倒して優勝をしてくれた。来年の五輪、次ぎのカナダでのW杯でも優勝をするつもりです。

■佐々木則夫監督 ただいま、という感じですね(笑)。結構長かったんで。報道を通じて、たくさんの方々が応援してくれていることを現地で感じていた。(国内が盛り上がっていると)多少噂には聞いていましたが、空港でも驚いてしまった。またこの会見場でも、男子と同じよう方々が集まってくださって驚いています。
北京でベスト4を目指してベスト4だった。あれから以降、やはり世界チャンピオンを目指していなければいけない、ということを話をした。選手たちの間でも、その意識が非常に高まった。短期間で急激に伸びた理由だと思う。

代表質問(佐々木監督へ)
 (W杯でのターニングポイントは)予選グループの最終戦でイングランドに(0-2)で敗れたことがターニングポイントになったと思う。
 (いつも笑顔だったのは?)ピッチ外でかなり多いですね。トレーニングでも前半は笑顔でやっていて、後半になって練習が厳しくなっていく、そういうムードを外国の記者にもずい分驚かれた。オフでもギャーギャー騒いで笑顔が絶えず、僕はまるで女子寮に閉じ込められているような状態だった(笑)。そんな中で、上田さん、大仁さん(副会長)と、ぼくらのテーブルはおやじギャグ満載だったし、いつも和やかな笑いを大事にしている、というか、自然にそれがあふれている中で戦っていた。
 (PK戦の前の笑顔は)天からの恵みのように思った。相手は勝った、と思ったところでPKまで入った。うちのほうがもうけもんやぞ、という感じで、僕自身は笑いが止まらなかった。熊谷だけは4番目(のキッカーと)といわれて引きつっていましたが。沢は、「私は嫌よ(PKが苦手なので)」とこれも笑いの理由だった。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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