スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2024年9月 8日 (日)

柔道 野村忠宏氏主宰の「野村道場」記念の10回大会で永瀬、角田、出口3人のパリ五輪金メダリスト3人が約250人の子どもたちを指導 パリの混合団体で話題になった「デジタルルーレット」の演出に会場沸く

7日=横浜武道館 柔道男子60キロ級でアトランタ、シドニー、アテネと五輪3連覇を果たした野村忠宏氏(49)が主宰する柔道教室「野村道場」の記念すべき第10回大会が行われ、パリオリンピックの男子81キロ級で五輪連覇を遂げた永瀬貴規(旭化成)、女子48キロ級の角田夏実(SBC湘南美容クリニック)、カナダ代表で同国初の柔道金メダルをもたらした女子57キロ級の出口クリスタ(日本生命)のパリ五輪金メダリスト3人と全日本男子の監督でアテネ五輪金メダリストの鈴木桂治氏、野村氏を含め5人の講師で五輪金メダル8個の超豪華な顔ぶれで子どもたちに技のかけ方や楽しさを教えた。
 今回は柔道をした経験のない子どもたちを含む約250人の小中学生が参加し、さらに会場は保護者だけではなく観戦も可能としたため約1500人が立ち見する大盛況のなか、野村氏は子どもたちにいつもと同じように「柔道では精力善用、自他共栄が一番大事な基本になる。相手に敬意を払うためにも礼が最初にある」と、立礼、座礼の正しい仕方に時間をかけて指導した。

金メダリストが得意技を実演するぜい沢なセッションでは、角田が「ともえ投げ」、出口が「大外刈り」、長瀬が「内また」、また、野村氏は背負い投げ、鈴木監督は出足払いと、それぞれが「虎の巻」をこどもたちに丁寧に伝授。
 野村氏は自身の背負い投げを教える際、「自慢じゃないけど僕の背負い投げはめちゃくちゃ速くて強いので学生では受けるのは難しい」と、パリの混合団体で注目された「デジタルルーレット抽選」で相手を決めると提案。大型ビジョンのルーレットが階級ではなく、野村道場に長く出場しているレギュラーでユーチューバーの「ドンマイ川端」で止まるとユーモアのある仕掛けに会場中が大きな笑いと拍手に包まれた。同氏は、野村氏には「骨が折れるかもしれない」というほど強力な背負い投げを、鈴木監督にも大外刈りなど決められた「パリよりひどい」と畳から立てずに苦笑していた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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