スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2024年9月 4日 (水)

日本代表W杯北中米大会アジア最終予選中国戦 「鬼門」の最終予選初戦突破に森保監督と遠藤が会見  ’日本キラー’中国のイバンコビッチ監督「私が日本代表に注目したのは実は1998年フランスW杯からで・・・」

4日=埼玉スタジアム 日本サッカー界にとって8大会連続出場をかけた26年W杯北中米大会アジア最終予選の初戦となる5日の中国戦を前に、森保一監督と遠藤航キャプテンが揃って前日の公式記者会見に臨んだ。森保監督は前回、2021年に始まったカタールW杯アジア最終予選初戦で手痛い黒星を喫しており「2026年北中米W杯に向けての最終予選が始まる。アジア予選を確実に突破できるように、一戦ごとに最善の準備を尽くして、(W杯での)高い目標を持ちつつも、目の前の一戦に最高の準備をしたい。明日の勝利を目指して、今日できること、明日できることをして臨む。サポーターの皆さんにはアジアを勝ち抜くために共闘してもらえれば幸いです」と表情を引き締めた。
 直近のFIFAランキングでは日本の18位、中国は87位、過去の対戦成績も15勝8分7敗と勝ち越し実力差があるかに見えるが、最終予選の難しさと同時に警戒しなくてはならないのは中国を率いるブランコ・イバンコビッチ監督の存在だ。

 前回カタール大会のアジア最終予選ではオマーンを指揮し初戦で日本に快勝。日本代表はロシア大会のアジア最終予選に続き、スタートでつまづく結果となるなどまさに「鬼門」となった。
 このオマーン代表戦
は知られているが、実は、同監督と日本代表の縁は1998年、日本が初めてW杯に出場したフランス大会の2試合目、クロアチア戦までさかのぼる。
 当時、クロアチアも独立運動を
経て初めてのW杯出場でミロスラフ・ブラゼビッチ監督が率いたチームはW杯3位と大躍進。コーチを務めていたイバンコビッチ氏は、初出場のクロアチアと日本のグループリーグ第2戦(0-1でクロアチア)で初めて日本の分析を担当した
 さらにジーコ監督が率いた06年ドイツ大会のアジア最終予選ではイラン代表監督を務め、
テヘランでの(日本にとって)アウェーでは2-1で日本を倒している。
 「(前回のオマーンの試合だけではなく)私が日本代表に注目したのは実は1998年からだ。その後もジーコ監督の時代に大きく世界にむかって伸びたと思う。川口(能活)、中田(英寿)、中山(雅史)、中村(俊輔)、遠藤(保仁)・・・」と、細かい分析を今も記憶している裏付けだろうか、日本代表の名前を会見でスラスラとあげた。
 
 もちろん日本代表に油断はない。
 キャプテンの遠藤は会見で「いよいよ最終予選。個人としても非常に楽しみにしている。今できる環境で最大限、最高の準備を皆でしてきた。まずは明日の初戦、しっかり勝てるようにネガティブなことはあまり意識しすぎず、ポジティブにいい準備をしてきている。厳しい戦いになるのは選手もわかっている。自分たちに力があるという自信を持って、楽しみながらもしっかり勝利をつかみ取れれば」と主将の自信あふれるコメント
に、隣に座る森保監督もうなづいた。
 遠藤は、イバンコビッチ監督が率いる中国について「中国の選手の良さをしっかり生かしながらサッカーをしてくるという印象。自分たちがボールを持つ時間は長くなるのでリスクマネジメントやカウンター対策は選手としてやっていかないといけない」と上背を活かしたセットプレーも警戒した。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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