スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2024年8月16日 (金)

パリ五倫バドミントン混合ダブルス銅メダルの「ワタガシ」 ペアを解消し新たな挑戦「ペアを組んで13年、本当に良かった」20日からのダイハツオープンを最後に

16日 パリオリンピックのバドミントン混合ダブルスで、2大会連続の銅メダルの快挙を果たした渡辺勇大(27)東野有紗(28=ともにBIPROGY)の「ワタガシ」ペアが、20日に始まる「ダイハツ・ジャパン・オープン」(横浜アリーナ)を最後に13年続けてきたペアを解消すると、所属チームが公式サイトで発表した。発表によると渡辺は今後混合ダブルスで、東野は女子ダブルスで新パートナーと活動していくという。
 渡辺は「ペアを組んで13年、感謝しかない。2人だからここまで成長できたと確信している。2人での最後の試合となるジャパンオープンでは、最後まで楽しんでプレーしたいと思っています。是非、観に来ていただけると嬉しいです」とし、東野は「13年間ペアを組みここまで来ることができて本当によかったです。たくさんの歴史を創れてすごく幸せでした。ゆうたくんとだからここまで来られたと思います。私のもう一つの夢であった女子ダブルスで世界の頂点を目指したいという夢をかなえられるように頑張っていきたい」と、それぞれチームを通じてコメントした。

 「しばらくバドミントンは考えたくない」(渡辺)「スカイダビングをやってみたい」(東野)印象的だった帰国会見の言葉

 バドミントン日本代表は8日夜にパリ五輪から帰国し、9日羽田空港で帰国報告会見を行った。
多くの質問に2人は嫌な顔ひとつせずにていねいに回答。そんな渡辺と東野に「これからバドミントンに関して何か新しくチャレンジしてみたいことはありますか」と聞いた際、「しばらくバドミントンのことは考えたくない」(渡辺)、「バドミントン以外にはしてみたいことがあります」「やってみたいのはスカイダイビング」(東野)とそれぞれ答えた。スカイダイビングには驚いてしまって「それはまた凄いチャレンジで・・・」と返すのが精いっぱいで、その
理由を追加して聞くのも忘れてしまった。
 そこまでの回答とは違い、2人とも一切笑わず少し目を伏せた。どの質問にも先に渡辺が答え、東野も「そうですね」と追随してまとめる形だったのに、「しばらくバドミントンのことは考えたくない」、「バドミントンじゃなければ(チャレンジしてみたいのは)スカイダイビング」という答えが、少し異質に聞こえ違和感を持った。
 2人がパリを迎える前にすでに決めていたバドミントンの「新しいチャレンジ」について答えたら、きっと辛くてあまりに寂しくて・・・そんな感情とせめぎ合っていたのだろうか。2大会銅メダルを獲得した最強ペアの発展的解消を知り、あの時の会見での2人の様子とコメントが浮かんだ。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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