スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2024年7月29日 (月)

パリオリンピック サッカー「なでしこジャパン」が怒涛の逆転劇でブラジルを2-1で下し勝ち点3を獲得 JFAアカデミー出身19歳の谷川萌々子がPK獲得とゴールの大活躍でトーナメント進出に前進

28日=パリ・パルクデプランス(キックオフ1700 日本時間29日0時) 天候晴れ 気温25度 湿度49% 
 サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」はパリオリンピックのグループリーグ第2戦目でブラジルと対戦し、逆転負けをした初戦のスペイン戦から一転、後半アディショナルタイムに2点を奪う鮮やかな逆転勝利で勝ち点3を獲得した。これで8強進出に前進した。
 前半はともに無得点で折り返し後半11分に先制される。0-1で進んだ後半35分、守屋都弥に代わった19歳のMF谷川萌々子が、後半アディショナルタイム8分に突入する直前、エリア右から積極的なドリブルを仕掛けて相手のハンドを誘発、VARの結果PKを獲得した。これをアディショナルタイムに入って、2012年ロンドン五輪の銀メダルを経験しているキャプテンの熊谷紗希が、長い助走から決め土壇場で同点に追いついた。
 さらにアディショナルタイム6分、谷川は、中盤のこぼれ球に相手GKが少し前に立っていたのを冷静に見きわめて右足ダイレクトでロングシュートを放った。これがゴール左隅に決まって逆転。初戦でナイジェリアに勝って勢いに乗るブラジルをアディショナルタイム8分の鮮やかな逆転劇で退けた。
 日本はサイドの清水梨紗のチーム離脱、スペイン戦では先制点となるFKを決めた藤野あおばもこの日、コンディションを理由にベンチ外となった。このためスペイン戦の先発から、DF守屋都弥、DF高橋はな、FW浜野まいかの3人を新たに投入した。また初戦を終えた翌日、会場となったナントからパリに移動する際に利用するはずだったフランス国内の高速鉄道(TGV)への「大規模な破壊行為」(当局)で乗車ができなくなり、2時間で移動できる予定が6時間をかけてバス移動するなど中2日の短期間でアクシデントに見舞われた。しかし、27日の取材対応では、DF南萌華が「体もキツイですし色々なことはあるが、そこは日本人らしい粘りで乗り切る」と強い気持ちを表すなど、逆境のなか、グループ突破のためには勝ち点獲得が絶対に必要な試合になでしこジャパンの「粘り」が発揮された試合となった。
 グループリーグ3戦目は、再びナントに戻ってナイジェリアと対戦する。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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