スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2024年6月29日 (土)

パリ五輪選考会を兼ねた陸上日本選手権 田中希実は1500㍍でも内定し五輪2大会連続2種目出場 男子400㍍Hの慶大・豊田兼は日本人3人目の47秒台でV 初の五輪代表に やり投げ北口は2年ぶりのVにも「危機感がある」と課題を口に

28日=新潟・デンカビッグスワンスタジアム パリ五輪の選考会を兼ねた陸上の日本選手権が行われ、すでに五輪代表に決定しているやり投げ日本記録保持者(67㍍38)の北口榛花(26=JAL)が2投目に62㍍87をマークし、2年ぶり4度目の優勝で国内最高峰のタイトルを奪還した。2位には武本紗栄(TeamSSP、61㍍41)、3位は上田百寧(ゼンリン、60㍍72)と60㍍越え。優勝したものの、技術的にはまだしっくりこないようで「やりに力感がない。シュッと出てしまっていて61,62㍍なのでもどかしいし答えが出なかった」と独特な形容で望むレベルではなかったと告白。「各国の選手が調子をあげているなかで自分が上がってこないので危機感があります」と満面の笑みで2年ぶりに優勝を喜ぶことはなかった。
 中距離のエース、田中希実(24=ニューバランス)が1500㍍決勝で4分1秒44の好タイムをマークし、パリ五輪の参加標準記録(
4分02秒50)も突破。すでに代表に内定している5000㍍に加えて2種目の代表に内定した。田中は21年東京五輪にも2種目で出場しており、2大会連続での2種目出場となる。
 田中は「今までで一番いい状態で臨めた日本選手権だった」と即内定の結果に手応えを見せながらも、レース前に映像を見たという現在行われている全米選手権の同じ女子1500㍍に触れた。「どのレースもみんな攻めていて、予選でも私のこの記録を上回っている。もっと圧倒的な力を出さないとタイムは出ない」と、厳しい自己採点を口にした。今大会は2年ぶりに800㍍にもエントリーしており、29日に800メートル予選と5000メートル決勝、30日に800メートル決勝と4日間で最大5レースに挑む。
 また男子400㍍では、豊田兼(21=慶応大)が47秒99と日本歴代3位、日本選手として3人目の47秒台の好記録で優勝し初の五輪代表に内定した。豊田は自己ベストを0秒37更新し、「自己ベストが出せて100%喜べる。コツコツ(練習を)積んでここまで来られた。勝負だけを考えていて速報を見たときは、48秒01だったので、それがまさか47秒台になるとは思っていなかったのでまさか47秒が出るとはと驚いた」と、レース後数分経っても大きな呼吸を続けひざに手を置いたまま力を出し切った様子だった。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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