57歳のカズ ポルトガルでの2季を終えて帰国「悔しくて悔しくて・・・でも挑戦ができた幸せな1年だった」40年目の所属は休養後に
21日=羽田空港 39年目のシーズンをポルトガル2部オリベイレンセで終えたカズ、三浦知良(57)が帰国した。ロビーに現れると、多くのファンに拍手や歓声で迎えられ、長いシーズン、長いフライト直後も拍手や撮影に気軽に応じるなど変わらぬ「らしさ」も披露した。
40年となる来季について「チームも個人も厳しいシーズンで悔しさがほとんど。それでも挑戦できて幸せな1年だった。(来季のチームを)決める条件は自分の中にあるけれど、まずはしっかり休んで決めたい」とし、先ずは昨年9月に他界した父・納谷宣雄さん(享年81)の墓前に報告をしたいと希望した。昨年帰国し、兄・三浦泰年氏と葬儀で見送ったがポルトガルに戻ったために墓参りは初めてになるという。
横浜FCから期限付き移籍で2年目の今季(15位)は、リーグ戦5試合、カップ戦1試合6試合で交代出場したが、ゴールできなかった。それでも「カントクは(カズを)ユースの選手と間違ってんじゃないか」と笑って振り返るほど厳しいフィジカルトレーニングに若手と一緒に挑んだ。今後は、兄泰年氏が監督を務める「アトレチコ鈴鹿クラブ」などを候補に所属先を絞る。
プロサッカー選手を目指してブラジルで初めて移籍を果たしたのは1984年(キンデ・ジャ・ウー)で、1986年にビッグクラブのサントスで契約。2024年はブラジルでスタートさせたプロ生活40年となる。39年の総括と、40年目への課題を聞かれ「とにかく(試合に出られず)悔しくて悔しくて、次こそは(試合に出るぞ)次こそはって。それでも試合はやってくるから前を向いて、毎週毎週、毎日毎日準備して・・・」と、「悔しい」「次」「毎日」を何度も繰り返す言葉選びに、現役の矜持がにじんでいた。
記者に「え?40年、ホントに?」と逆質問。そして「(キンデ・ジャ・ウー移籍から)40年?へーッ!たいしたもんだよ、カエルの小便」と、大好きな映画「男はつらいよ」の寅さんの口癖をつぶやきながらまるで他人事のように笑った。ポルトガルにも世界中から寄せられたという手紙やサインに誰もが「あなたは、たいしたもんだ!!」と書いているはずなのだが、カズは後ろより「次」という未来にしか関心がないのだろう。どこかユーモラスで、しかし57歳の現役の理由がぎゅっと詰め込まれたやり取りだった。