スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2024年5月25日 (土)

Jリーグ 柏対川崎は1-1のドローに 柏は4試合負けなし、川崎は3試合ぶりの勝ち点「GK松本のガッツあるプレーに助けられた」井原監督  脳しんとうの疑いで退場した松本は会話ができ病院へ

25日=Uvanceとどろきスタジアム J1第16節が行われ、2連敗中の川崎フロンターレ(14位)と公式戦3連勝中の柏(10位)が対戦し1-1のドローと痛み分けとなった。川崎は3試合ぶりの勝ち点、柏は4戦負けなしとした。
 後半のアディショナルタイムにゴールを決めるなど勢いに乗って先制点を奪い柏だったが、前半は、川崎に試合の中盤も約70%ボールを保持される我慢の展開に持ち込まれてしまう。一方川崎は30分にエリア内で家長昭博―ゴミスとつないだボールが脇坂泰斗へ。脇坂はワンツーでペナルティエリアに入ると右足でシュートしこれが先制点となった。
 柏はハーフタイム、「ボールを握られる時間が長くなるのは想定内だが、我慢する時間が長過ぎたので後半は自分たちのペースに引き戻す」(試合後、井原正巳監督)と、攻守ともにボールの位置を確認しながら冷静にプレーする指示を徹底したという。両チームとも交代はなく後半が始まると、今度は柏が流れを引き戻して主導権を握り、序盤で立て続けにゴールチャンスを作る。
 前半から飛ばした川崎の大南、遠野が続けてイエローカードを受けるなど流れが悪くなった14分、柏はFKからのスタートのチャンスを見逃さなかった。MF戸嶋祥郎が右足でボールを浮かさないためにピッチに叩きつけるボレーシュートを放ち、最後は木下康介が押し込んで1-1の引き分けに持ち込んだ。
 後半アディショナルタイム1分には、FKからジェジエウが一度はヘディングで決勝点を奪ったかに見えたがVARでゴールは取り消された。GK松本がこのプレーでジェジエウと激突し、ピッチに首をひねるかたちで転倒、脳しんとうの疑いで動けなくなったまま、GK守田達弥と交代した。試合後、井原監督は「あぁいう(松本の)ガッツあるプレーが勝ち点1につながった。意識はあって話はできるが大事を取って検査をすることになる」と症状を説明。関係者によると、松本は、話はできるものの、試合の詳細を思い出せないという。U23のアジア杯で荒木遼太郎が脳しんとうに見舞われた際も、ピッチ上での確認事項は全てクリアしながら試合後になって「記憶がない」と話し、帰国を遅らす措置を取った。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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