スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2024年5月19日 (日)

陸上セイコーゴールデングランプリ パリ五輪代表の女子やり投げ・北口榛花 今季3戦目も「6投目の逆転」で優勝 パリへ弾み

19日=国立競技場(観衆約2万人) 陸上のセイコーゴールデングランプリ(GGP)が行われ、女子やり投げには今季3戦目の北口榛花(26=JAL)が出場、「6投目の逆転女王」と呼ばれる最後の投てきでの勝負強さをこの日も発揮し、最終投てきで63㍍45をマークしトップを逆転して優勝した。北口は試合後、「こんなに多くのお客さんの前で試合ができて拍手をもらって本当にうれしかった。(今季3試合のなかでは)自分の感覚に一番近い投てきができた」と、記録よりも感覚が少しずつ理想に近づいていると手応えを表現した。4月のダイヤモンドリーグ、5月の水戸招待とどちらも6投目で記録を伸ばし連勝している。

 昨年のブタペスト世界陸上で日本人女子選手として初めて投てき種目を制覇。すでに今夏のパリ五輪代表には決定している。3投目までは60㍍20でベスト8に進出したが、「上半身の使い方がどうしてもしっくりこなかった」と続く4投目はファールに。ブタペスト世界陸上・金メダルの北口に加え、銀のルイスウルダド(コロンビア、19日は62㍍06で②)、銅メダルのリトル(オーストラリア、19日59㍍12で⑥)が揃い、昨年のゴールデングランプリ2位のピーターズ(ニュージーランド、19日61㍍26で3位)と「パリ五輪前哨戦」ともいえるトップ選手が揃い、北口も緊張感の高い試合に臨めたという。
 1回目60㍍20、2回目は60㍍19、3回目は58メートル30と、本人も納得できなかったのか首をかしげた。しかし後半右肩上がりに試合をまとめる圧倒的な力をここから発揮した。
途中、うつ伏せに寝ながら、そのシーンが映っている大画面を見たのか恥かしそうに笑う場面も。メンタルの安定性は、後半に向かってこうした切り替えを何気なく取り入れるところにも表れているのかもしれない。
 「5投目で(記録も)復活し、最後はいつも通り、最後なんで!(開き直って)と一生懸命投げるんです」
 もちろん優勝の結果以上に自身の記録、身体の使い方、課題を多くあげる。
「この記録ではパリでのメダルには届かない。上半身が、固い板(だと動きが良くない例え)から柔らかい板にやっと変わってきた感覚はある。これをもっと太い芯が入った柔らかい板・・・うーん、でも板には芯がないですよね・・・今試合が終わったばかりでうまい例えが思いつかないんですが」
「板に太い芯が入った柔らかい板になる・・・」単身で言葉も分からないチェコにコーチを頼って出かけてしまい、孤独や不安と戦いながら自分に合った練習を取り入れ、世界一になる。太い芯が入った柔らかな板、は北口というアスリートそのものの表現にも聞こえた。

              「太ももがつったサニブラウンは大事とって8位でゴール」 

○・・・男子100㍍決勝には予選を10秒07で通過したサニブラウン・ハキーム(東レ)が、国内では11か月ぶりとなったレース出場し10秒97(追い風0.1メートル)で8位だった。パリ五輪の参加標準記録10秒00を切れば代表に即内定となるレースだったが、スタート直後に違和感があったのか後半減速し最後は流した。レース後ふくらはぎとハムストリング(太もも裏)がつった状態だったとし、「1本目の後、体がいっぱいいっぱいでつりそうな予感はあった。案の定12~13メートルでつってしまった。プッシュ(無理をして)して怪我したら元も子もないので、緩めて走り切る形になった」と説明した。10秒21の桝田大輝(東洋大)が優勝した。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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