日本サッカー24年度S級コーチ養成講習会 中村俊輔、阿部勇樹、永井雄一郎各氏ら20名が参加してスタート 初日から試合視察、分析、グループワーク、オンライン講義と濃密スケジュール
7日=大宮市内 日本サッカー協会(JFA)の「2024年度S級コーチ養成講習会」がこの日スタートし、今年は、横浜FCトップチームの中村俊輔(45)コーチ、現在、埼玉県3部リーグに所属する「KONOSU(鴻巣) CITY FOOTBALL CLUB」監督を務める永井雄一郎氏(44)、浦和のユースチームの阿部勇樹コーチ(42)ら受講者20人がプロコーチのライセンスとなるS級取得に集まった。これから約1年、様々な角度から指導論を学ぶ。7日は大宮市内のホテルに午前中に集合、グループで分析を行った後、埼玉スタジアムで行われた浦和対鳥栖(3-0で浦和勝利)を全員で視察。視察後筑波に移動してグループディスカッションやオンライン講義と初日から早くも密度の濃いスケジュールとなった。
冒頭、緊張感が漂う会場で自己紹介が行われ、「指導者としても人としても成長したい」(中村俊輔コーチ)、浦和、代表でも主将を経験してきた阿部は「チームの雰囲気は大事。(20人が)ひとつのチームとしていい雰囲気のなかでお互い成長できるように」とあいさつをし、すでに指導の現場に立っているもののプロ指導ライセンスへの挑戦に気持ちを新たにしていた。
また、札幌のペトロヴィッチ監督の通訳を長年務める杉浦大輔氏(49)や、女子サッカーなでしこリーグの「ニッパツヨコハマFCシーガルス」の石田美穂子監督(41)も参加する。杉浦氏は、札幌での通訳とS級取得の講習会参加と忙しい1年となるが「すごくワクワクしている。老体に鞭打って頑張ります」と、受講者中49歳と最年長となる自らを笑い飛ばしていた。
JFA指導者養成の木村康彦ダイレクターが3月時点でサッカーのライセンス保持者は国内約92000名でうちS級取得者は558名、プロ監督に実際に就任するのはおおむね10人に1人の割合といった全体像を示し「指導者としてのさらなるステップアップのために学び、気付きを多くしていって欲しい」と期待を寄せた。講師役を「チューター」という。今年は、現役時代鹿島の創成期を支えた奥野僚佑氏(55)、W杯フランス大会代表で、町田などで監督を歴任した相馬直樹氏(52)が木村氏とともに受講者を支援する。
3月、8年の任期を全うした田嶋幸三・前日本協会会長が退任会見の際、日本が男女、すべての世代、フットサルやビーチサッカーの代表チームがアジア予選を勝ち抜き、世界大会への出場を果たした成果を「世界中に全ての世代でこれほどの結果が修めた国は例がなく、世界各国で育成大国ニッポンとして注目、評価されている」と振り返っている。
23年のU-20ワールドカップ(W杯)を除くすべての大会でグループステージを突破し、決勝トーナメントに進出。トップに立つ日本代表はこの間、18年と22年の2回のW杯で世界の予想を覆してラウンド16への進出を果たしており、指導者養成講習会とそのクオリティの向上は、「育成大国ニッポン」の屋台骨として今後さらなる強度や柔軟性を求められる。