スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2024年4月24日 (水)

アジアクラブNO1決定戦ACL準決勝2戦目 横浜Fマリノスが10人となりながら2試合合計3ー3で蔚山現代を延長、PK戦で下して決勝進出の激闘制す

24日=日産スタジアム アジアNO1クラブを決定するACL(アジアチャンピオンズリーグ)準決勝第2戦が行われ、韓国の蔚山現代に初戦のアウェーを0-1で落とした横浜Fマリノスがホームでの逆転にかけて2戦目に臨んだ。試合前から降っていた雨が激しくなり、スタジアム中が雨で霧がかかったように霞む難しいコンディションのなか、横浜Mは前半13分、こぼれたボールに瞬時に反応した植中朝日がゴール左めがけて右足でシュート、これが決まって前半序盤と絶好のタイミングでこの試合で先制、2試合合計も1-1(アウェーゴールはなし)と早くも同点とした。
 スリッピーなピッチに両チームとも苦戦するが、勢いに乗ったマリノスは21分、マテウスからロペスへのパスからロペスがエリア中央付近で身体をひねって左足でシュート。ゴール右に決まってこの試合2-0、2試合合計でも2-1と試合の中盤で決勝進出を手繰り寄せる逆転に成功した。さらに30分には奪ったボールをナムテヒが左サイドから植中へ。植中は右足でエリア手前からシュートを放つとゴール右上に決まって3点目を奪って現代にトドメを刺したかに見えた。
 しかし現代は前半34分にィ・ギュソンに代えてボヤニッチを中盤に投入。マリノスの中盤を抑え切れていなかった中盤の守備と展開力への変化を求めた交代で息を吹き返す。
 2分後の36分には、右CKからイドンギョンが左足でクロスを送ると、サレスがヘディングでゴールに。これでこの試合3-1、2試合合計3-2と同点に迫る。39分にはカウンターにスライディングで当たった上島拓巳がハンドをおかしてこれにレッドカードが出されて退場。42分にボヤニッチが右足でPKを決めて3-2、2試合合計3-3と試合は再び振り出しに戻り、マリノスは数的不利を負って後半を迎える厳しい展開となった。
 10人のマリノスは後半からエウベル、ナムテヒをそれぞれエドゥアルド、山根と交代。これ以上の失点を食い止めて自陣で守備を徹底してカウンターで1点を奪う困難な45分に臨んだ。マリノスは36分にも、水沼宏太、宮市亮とベテランをピッチに送り込んで試合の均衡を保とうとした。
 一方数的優位を活かしてポゼッションで崩そうとする現代だが、ゴール前のマリノスの堅い守備に阻まれ追加点が奪えず、マリノスの11本に対して26本のシュートを放ったが試合は、マリノスはこの試合3-2,しかし1試合目の敗戦(0-1)を加えて2試合合計3-3となり延長戦へ(15分ハーフ)。激しい雨と冬並みの低気温となったが、マリノス、ヒュンダイの決勝進出を見守る16098人のファンは雨のあたる席でも動かず応援を続けた。
 マリノスは10分以上を凌ぐと、ここまで走った永戸勝也と天野純を交代し延長後半へ。後半9分、ゴール前の混戦から現代・ケルヴィンが中央に持ち込んで決定的なシュートを放つが、マリノスのGKポープは右手でこれをファインセーブ、しかし、延長に入って雨と低い気温のせいかゴール前でも何度もストレッチをしていたポープの足がつってしまい試合が中断する。マリノスはこの後、守備の枚数を1枚増やして耐える。直後、現代がこぼれ球を決めたかに見えたがオフサイドの判定で無得点となって試合はアディショナルタイム3分と表示される。
 マリノスは延長含め80分以上を10人で耐え、試合はPK戦となった。現代の5本目をポープがセーブ。最後はマリノスのエドゥアルドが決めて数的不利を跳ね返してマリノスが決勝進出を果たした。 

 

 

 

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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